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K01 : 熱の入江 11
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俺はすっかり臨戦モードになってて、もう目の前にぶら下がってるおいしそうな餌が欲しくて堪らなくなっていた。
オフホワイトのワンピースが華奢な肩から滑り落ちれば、滑らかな陶器みたいにきれいな肌が露わになった。
『楓のその瞳、ゾクゾクするね』
濡れた眼差しでそんな風に言われて、俺は思わず笑ってしまう。
『美桜ちゃんもね』
口角が上がって、無表情な顔が少し柔らかくなった。いつもそうやって笑えばいいのに。
美桜ちゃんが笑わないのは、自己防衛なのかもしれない。この世界はきれいな女の子には危険過ぎる。だから、そうやって殻に閉じ籠ってるんだ。
俺は大学生になって初めて仲良くなった女の子の身体を大事に大事に愛撫して、温かく濡れたその中にゆっくりと半身を沈めていく。
欲を吐き出した後の気怠い身体を持て余しながら、目の前の長い黒髪に指を絡ませて梳いていく。
シャンプーのCMに出れば、その商品はきっと売れる。本気でそう思うぐらいツヤツヤした髪が、指の間をするすると流れる。
美桜ちゃんの身体はすごく気持ちよくて、フェラとかもしてもらえてしかもめちゃくちゃ上手くて、もう最高だった。
クールな普段とのギャップにクラクラしながら夢中になって肌を重ねて、身体はいい感じに満足してる。
なのに美桜ちゃんはおもむろにベッドからむくりと起き上がって、ふう、と軽く溜息をついた。
『楓だったら、イケると思ったのに』
まさか身体を繋いだ後の第一声がそれだとは思わなくて、びっくりして俺も身体を起こす。
『えっ? あれ、演技だったの!?』
すごくショックなんだけど!
『バカ、そうじゃない』
そう言いながら、美桜ちゃんは甘ったるいキャラメルみたいな色のバッグを引き寄せてポーチを取り出す。中から出てきたのは、ピンクのメンソール。
細いシガレットを慣れた手つきで口に咥えて、シルバーのライターで火を点ける。
『美桜ちゃん、煙草吸うの?』
『こういうときだけね』
こういうとき、というのはエッチの後ということなんだろう。
美桜ちゃんは細い両脚を左手で抱えて三角座りをしながら、ふう、と溜息みたいに紫煙を吐き出す。
きれいな顔立ちの女の人って、なぜだか妙に大人っぽく見える。美桜ちゃんも例外じゃない。
なのに、今の美桜ちゃんは小さな子どもみたいだった。
『私ね、普通の恋愛ができないの』
煙を燻らせながら、美桜ちゃんは呟くように口にする。
『普通の人と、普通の恋愛ができない』
『どういう意味?』
何だか深刻そうな話だった。そっと顔を覗き込めば、美桜ちゃんは上目遣いに俺を見つめる。
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