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朝ごはんの時間
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朝起きると、隣に縁下はいなかった。
「ふぁ……どこ行ったんだ……。」
俺はまだだるい体を起こして部屋を出た。
出てみると、キッチンからフライパンで何かを焼く音が聞
こえてきた。近くに行って見てみると、目玉焼きだった。
「起きたのか、おはよう。」
「おーう、はよ。うわ、うまそう。」
「すぐ出来るから、着替えて机で待ってろ。」
俺はそれに返事してから制服に着替えに行く。素早く着替
え終わると、机についた。それと同時に縁下が朝飯を運ん
できた。
朝ごはんの内容は、食パンと目玉焼きという簡単なものだ
が、とにかく美味そうな匂いを放っている。
「ほら、食べろ。」
「やったぜ!いただきます。」
いい具合に焼いてある食パンを齧ると、サクッという音と
共にバターのいい香りが香ってくる。
「ふ、ふまい……!」
「言えてないぞ。」
口の中いっぱいに頬張りすぎて言葉がうまく出せないが、
とにかく美味いことを伝えたい。
そしてその流れのまま目玉焼きへと箸を進める。
卵の黄身をわると、トロトロな半熟卵が姿を現した。我慢
出来ずに口へと運ぶ。
「ふ、ふまいぃぃいい!」
「言えてないぞ。」
なんだこれは。完璧な半熟卵がとても濃厚で、白身とよく
あっている。
とにかく美味くて、手と箸が交互にものすごい速さで動
く。
「阿久津。」
俺がものすごい速さながらも味わいながら食べていると、
突然縁下が俺の名前を呼んできた。
「何?」
「ついてるぞ。」
と言って、俺の口についていた卵を親指で拭ってとった。
BLでよくあるみたいに自分の口へと運ぶのかな、とかあ
りもしなことを考えていたら、やはりそれは違った。
「むっ!?」
あろうことか、俺の口の中に指を突っ込んできた。
えええええ!?タオルで拭くとかでいいんじゃないの!?
そりゃ自分の口の中に入れるなんて嫌だろうけどさ!?
俺がテンパっていると、縁下は更に指を突っ込んできて、
俺の舌に押し付けてきた。
ぐにぐにすんな!意味わからん!
「やえろっへ!らんらほ!?」
俺の口から指から引き抜くと、それに俺の唾液がのびる。
やべ、恥ずかしい。てかそうなったのはこいつのせいだ
ろ!何だったのほんとに!!恨むよ!?
しかし、縁下はその指をまたまたあろうことか、自分の口
元へと移動させ、口に含んだ。
なんっで!?嫌だったんじゃなかったのかよ!もう何がし
たいのか分からない。
「顔、真っ赤だよ。」
もう殴る。殴っていいよね。
俺は手をグーに握り縁下へと真っ直ぐ振り下ろすが、喧嘩
などしたことのない俺に人の殴り方なんて分かるはずもな
く。全く勢いのないパンチを繰り広げ、それはあっさり縁
下に止められた。当たり前だよね。
「こら、怒るなよ。」
こいつ馬鹿か。怒るにきまってんだろ!
俺は猫の威嚇みたいに、フーッ、フーッと息を切らしてい
た。
「お前が悪いだろ!」
「はいはい、悪かった。」
はいはい、ってなんだよ!こいつ1ミリも悪いと思ってね
えだろ。くそ!
縁下は少し笑って、咥えたのとは違う方の手で俺の頭を撫
で回してきた。
「可愛いな。」
なん……だと……。
俺は完全に弟に成り下がったようだ。
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