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急いで城に戻り、凱とお茶を飲んでいる奏に言った
「奏、時間が無い」
「楓?」
「空が教えてくれた、今密入国しようとしている船が4隻向かっている」
「ホントだよ!信じて」
「信じるさ、凱すまない」
「急いで」
「わかった」
軍隊など必要ないと思っていたのにね・・・
いつもは島の警備にあたっていた軍隊を呼び、海岸に向かった
「楓!」
「凱・・・」
「俺も行く」
「駄目」
「どうして?おかしな事を言うなよ」
そうだった・・・
ここで特別扱いをしたら気付かれてしまうかも知れない
「わかった、でも俺の傍から離れないで」
「オッケー!」
他の言い訳もあったのに
そこまで頭が働いてくれない
海岸には軍隊が揃っていた
「島の住人は全て避難させました」
「わかった」
「おいおい・・・戦争でも始まるのか?」
「違うよ、見える?」
「ああ・・・あの船か?」
「入国する連絡は受けていない」
「だからと言って攻撃する気なのか?」
「そうだね」
「どうしてだ?話し合って・・・」
「黙って」
「楓?お前・・・」
凱は軽く考えていたんだろう
なのに俺は・・・言葉を選ぶ余裕もないのか?
「楓、そんな言い方をしたら凱が混乱するだろ?」
「・・・・・・・」
「凱、最近密入国者が殺しをしたり窃盗をしたりとやりたい放題だ」
「そうだったのか、知らなかった」
「この島は天国ではない、俺達の島は俺達で護るんだよ」
「でも」
「空とお前もこの島で頑張っていただろ?それがあいつらのせいで全て台無しになるかも知れないんだ」
「そうかな・・・もしかして亡命かも」
「亡命は受け入れない事は知っているだろ?話し合いなど無駄だ、その場は引き上げてまたすぐにやって来る」
「俺達が護るのは何人?俺達だけでは無いはずでしょ」
「だけど」
「凱、奏達の気持ちをわかってあげて」
「空・・・」
「ごめんね、でも一人を許したらこの先も終わらなくなる」
「ああ」
凱は忘れているから色々な疑問もあるんだろう
そもそも攻撃的な事はしない島だからね
「奏」
「ああ」
奏は船に聞こえるように警告した
勿論、船内に聞こえるようにね
「警告する、一度しか言わない、そのまま引き返さなければ攻撃する」
「聞こえているのに速度は同じみたいだね」
5分待ち奏が言った
「攻撃しろ」
「はい!」
のんびりした島でも海戦攻撃用の武器は揃っている
使う事が無いのを祈っていたけど仕方がない
轟音を立てて飛び立つ戦闘機
どんどん小さくなっていく
「奏!戦闘機って・・・脅すだけじゃないのか?」
「攻撃と言ったはずだ」
そして燃え上がる炎
黒い煙
「待てよ!あの中には子供がいるかも知れないだろ?」
「この島にも子供はいる、何もしないままでは何度も同じ目に遭う」
「同じ目って・・・どういう事だよ?」
しまった
奏も同じ顔をしていた
すると空が言った
「窃盗や殺人だよ、最近島で多発しているって聞いてない?」
「確かに子供たちの親が言っていたのを思い出した」
「そうそう」
空のおかげで助かった
感謝しなければいけないね
「国王様、どうやら引き返して行くようです」
「油断するな、今日からは交代で見張りをつけろ」
「はい」
「すまないな・・・こんな事をやらせてしまって」
「いえ!とんでもありません、国王様の為ならば!」
「俺ではなくこの島の住民を護れ」
「はい!」
「攻撃して来たら一度だけ警告、その後はわかっているな?」
「はい!」
「この島の為だ・・・わかって欲しい」
「もちろんです」
船の気配が消えるまでその場で静かな海を見つめた
風の音だけが聞こえる
「では見張りやその他の事は軍で話し合ってくれ」
「はい、すぐご報告に参ります」
「ああ」
奏の言葉でいつもの静かな景色に戻った
でも凱の表情は悲しそうだった
「凱、少し歩こうか」
「・・・・・・・」
「気持ちはわかるけど、理解して欲しい・・・無理かな?こんな俺にはついて来れない?」
「いや・・・ごめん、でも突然すぎて驚いて・・・俺、何もわかってないなって」
「凱はそのままでいて・・・俺が凱を護るから、必ず護るから」
「楓?」
「一番大切なんだ・・・わかって欲しい」
「ごめん、楓も辛いのに」
「優しい凱が大好き・・・」
「俺もだ」
言葉で騙すようなことをした自分が辛い
だけど全て割り切るしかない
護るか見捨てるかの2択しかないと思えばいい
「でもここではしないからな?」
「クスッ、じゃ急いで戻ろう」
「おいおい・・・冗談だろ?」
凱を抱き寄せてキスをした
もう何も考えるな
これからの事だけを考えればいい
「このまま・・・」
「押し倒したら殺す!」
「冗談だよ」
笑顔に戻った凱と二人、静かな海を見つめた
今が幸せならそれでいい
凱が隣で笑っていてくれたらそれでいい
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