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「寒いよ・・・・・助けて・・・・・奏・・・・」
「空、もう大丈夫だから眠れ」
「・・・・・・・・奏」
楓に頼んでおいて正解だったな
すぐに捜して連れて来てくれたけど、空の体は氷のように冷たくなっていた
「怖かったな」
そっと髪を撫でながら、震える空を抱きしめた
「暖かい・・・・・」
「傍にいるから安心しろ」
「んっ・・・・・・奏・・・・・・・」
空の呼んでいる奏は俺ではない
空を安心させているのは夢の中の奏なんだろう
お前の世界の奏はそんなに優しいのか?
どんな風にお前を愛してくれていたんだ?
抱きついてきた空の顔を見つめ、溜息をついた
出来るものなら、お前の体も心も全て奪ってしまいたい
そして永遠にここで暮らして欲しい
だけど、それは望んではいないだろう
帰りたいとお前が言う度に、俺は辛くて体が切り裂かれそうだよ
どうすれば俺を愛してくれるんだ?
どうすればお前は俺だけを見てくれる?
「・・・・・・・・・・・・くそっ!」
空が眠ったのを確認して、ベッドから降りて綺麗な月を見上げた
これ以上、好きになってはいけないんだ
だけど・・・・・・・・
「奏」
「楓・・・・・入れ」
「空の具合はどう?」
「今は眠っている」
「そう、よかった」
「どうやらその世界の嵐は、空の世界の嵐とは違うらしいな」
「そうだね、この世界では命取りなのに」
「怖い思いをさせてしまった」
「かなりね・・・・・・見つけた時、とても怯えていたし」
「そうか」
「今の奏の瞳と同じかな」
「・・・・・・・・黙れ」
「奏も怯えているんでしょ?」
「ったく・・・・・お前ぐらいだよ、俺と対等に会話をするのはね」
「そう?」
「そうだ」
「それで、どうするの?」
「どうするとは?」
「このまま何もしないで見守るの?空が戻る日まで」
「・・・・・・・・・・・・お前が言うと怖いよ」
「俺は奏が心配だよ・・・・・そんなに苦しむのなら、凱の魔法で空の記憶を消してしまおうか・・・・なんてね」
「俺は作られた愛情はいらない」
「だと思った」
「今の空の言葉で聞きたい・・・・・叶わない夢だけどね」
「奏にしては珍しく優しいね」
「そうかもな」
「今までなら力ずくで奪うのに」
「泣かれるのが嫌なんだよ」
「成程」
「奏なんか嫌いと言われた時、かなり落ち込んだしな」
「相当重症だね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・黙れ」
だからどうしていいのかわからないから、空にはつい命令口調になってしまう
「ねぇ、知ってる?」
「何を」
「ドラゴンを孵した人間は、一生ドラゴンの傍にいなければいけないって言い伝え」
「えっ?」
「このまま空がたまごを孵したら・・・・・」
「楓」
「でも、この国にとってドラゴンは必要不可欠・・・・・・そして空も手に入る」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうするのか俺は黙って見ている事にするよ」
「お前」
「じゃ、これ・・・・凱から預かって来た薬、空が目を覚ましたら飲ませろって」
「ああ」
薬を受け取り、また一人で考えていた
楓の言いたい事はすぐにわかった
俺がその言い伝えを黙っているのかいないのかと言う事だろう
どうすればいい
空が欲しいのならこのまま黙っていればいいだけの事
だけど、すっきりしないのは・・・・・何故だろう
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