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ここはどこ?
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「死んでるのか?」
「まさかだろ・・・でも可愛い顔だな」
「ああ、でもどこかで見た顔のような」
「ん~、確かに」
「気のせいか」
「だな、このまま連れて帰ろうぜ」
「ああ」
んっ・・・・・
何?俺はまだ生きてるの?
朦朧とする意識の中、遠くに聞こえる会話を聞いていた
「さっさと行こうぜ」
「ああ」
えっ?
体が浮いてる
「しかし変な格好だよな」
「もしかしたらどこかのサーカスから逃げてきたんじゃないのか」
「成程!」
サーカス?
何それ
だんだんとハッキリしてくる意識の中でそんな会話を聞いていた
「おい、美味そうなブタもいるぜ」
「今夜はついてるな」
「ああ」
ブタ・・・・・
もしかして
「降ろせ」
「おっ、目を覚ましたのか」
「俺を降ろせ!」
「嫌だね!」
「だったら・・・・・」
腰のワンドを握り締め、魔法を唱えようとしたら口を塞がれた
「何やってるんだ?」
「頭がおかしいのか?」
どうしよう
魔法が使えたらこんな奴らなんて
「離せ!降ろせ!!」
「暴れるなって!」
(ブヒブヒー)
嘘
どうしてそんな姿に?
「使い魔を離せ」
「使い魔?なんだそれ、こいつはブタだろ」
「違う!」
「あ~あ、顔はかわいいのにやっぱ頭がやられてるわ」
「みたいだな、どうする?」
「なにかと厄介だし、ここでヤッてブタだけ持ってくか」
「だな」
何を言っているんだ?
意味がわからない
「ほら、大人しくしてろよ」
「嫌だ!離せ!!」
「ここは城の私有地だから誰も来ないよ」
「嫌だ!!」
意味がわからず、持っていたワンドで顔を殴りつけた
「こいつ、死にたいのか?」
「そうらしいな」
「顔に傷までつけやがって・・・・・なら殺してやるよ」
殺す・・・死ぬって事か
それもいいね
「なんだ、抵抗しないのか」
「殺してよ、やりたいなら俺が死んでからにしろよ」
「そうだな、そのほうが楽しめそうだ」
貴族にしてはおかしな服を着た奴らだった
でも、これでくだらない世界から消えることが出来るんだ
「じゃ、死ね!」
これでいいんだ
生きていても何一ついい事は無かった
「王の私有地で殺しは死刑だよ」
「か、楓様っ!」
「と言ってももう死刑確定だけどね」
「えっ?」
「お前たちの殺そうとしているお方は空様だ」
「えっ…まさか」
何?
確かに俺は空だけど、空様と呼ばれるような人間ではないはず
「お、おゆるしを」
「お願いします!命だけは」
「無駄だね」
「ぎゃーー!」
「ぐはっ!」
嘘・・・・・
なんの躊躇いもなく殺した
見慣れているけど見たくはない
「空、どこに行ってたの?捜したんだよ」
さっきの顔とは別人みたいな優しい瞳
「・・・・・・・・・・・・・」
「空?」
「あんた誰?」
「えっ?」
「確かに俺は空だけどさ、俺はあんたなんか知らないし」
「どうしたの?何かあったの?」
「こっちが聞きたいよ」
「・・・・・・・・・・・・・空・・・じゃない」
「は?」
「顔は同じだけど違う」
「何言ってんの?」
「じゃ、本物の空は・・・・」
「と言うか、あんたもおかしな格好してるんだね」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「でも、顔は悪くない」
「とにかく来て」
「えっ?」
「いいから」
「・・・・・・・・・・・」
死ねなかったのは残念だけど、もう捨てた命なんだからどうなってもいい
このままどこに連れて行かれるのかなんて知らない
「あんた、名前は?」
「楓」
「へぇ」
「詳しく話を聞きたいから部屋に」
「って、城?」
「うん」
「マジかよ」
いつも見つめていた城が目の前にあった
一生来る事などないと思っていた城
どうして?
そのまま腕を捕まれ、豪華な部屋に連れて来られた
こんな世界があるなんて信じられない
キラキラしたガラスの明かりとふかふかの絨毯
みんなはじめてみるものばかりだった
「座って」
「うん」
「じゃ、まず話を聞かせて」
「話ってなんの?」
「どこから来たの?違う国から?」
「違う国って・・・・俺はずっとここ住んでるし」
「・・・・・・・・・・・・」
「何か飲む?食事は?」
「うん、食べる」
「わかった」
こいつは剣士みたいだ
きっと魔法も使えるはず
どんな食事を魔法で出してくれるんだろう
「少し待っていてね」
「何で魔法で出さないの?」
「魔法?」
「そっ、簡単だろ?」
「魔法が使えれば簡単かもね」
「えっ、魔法が使えないとか嘘はいいから」
「・・・・・・・・・・・・・・」
急に黙り込んでどうしたんだ?
と言うか、この部屋に置かれているものは何だろう
本も文字が読めないし、時計も変だ
「月!」
そうだ、月を見れば
急いで窓際に向かい、空を見上げた
「何で・・・・・・・・・・・」
どうして月が一つしかないの?
それに空も何だかおかしい
「どうしたの?」
「何で月が・・・・やばいじゃん!」
「言っている意味がわからないんだけど」
「だからっ!月が一つしか無いって事!!この世界は壊れるって事なの?」
「月はずっと一つしかないよ」
「えっ?」
「どうやら君は違う世界からやって来たみたいだね」
「違う世界・・・・まさか」
「この島にそんな格好の人は居ないし、初めて見る服だしね」
「まさか」
「それにその武器も初めて見た」
「ワンド?」
「うん」
「これが無いと魔法が使えない」
「魔法?」
「さっきは口をふさがれてたから」
「魔法が使えるの?」
「・・・・・・・・・まぁ」
「見たいな、どんな事が出来るの?」
「じゃ、海を見て」
「うん」
くだらない魔法だけどね
ワンドを握り締め、魔法を唱えた
海の上に綺麗な花が咲いた
あれ・・・・海の色も違うような
それよりどうしてこんなに暗いんだろう
「驚いた」
「普通だし」
そして足音が近付いて来た
「楓!花火が上がったけど・・・・・・って空の仕業か?」
「誰?」
「へ?」
「凱、どうやらこの彼はものすごい人かもね」
「ん?空だろ」
「そうだけど空じゃない」
「んん??」
「とにかく、話を」
「うん」
「どういう事なんだ?」
「凱も座って」
「ああ」
俺も理解出来ない部分があったので話をする事にした
そして漸く気付いた
ここは俺の知っている世界ではない事に
「ま、待て!と言う事はこの空は違う世界から来た空?」
「そうなるね」
「しかも絶対存在しない魔法使い?」
「うん」
「マジかよ」
「凱も花火を見たでしょ?」
「見たけどさ」
「空、もう一度お願い」
「いいけど」
そしてもう一度空に花を咲かせた
「うはっ!!マジか」
「信じた?」
「ああ、じゃ本物の空は?」
「そこが問題なんだよね」
「まさか・・・・」
「うん、もしかしたらこの彼と入れ替わってしまったのかも」
「えっ」
「よくわからないけど食事は?」
「うん、今運ばせる」
「う~~ん」
「何?」
「空なのに性格が悪いな」
「あそ」
「むっ!」
「凱、怒らないの」
「だってさ~」
「とにかく食事が終わったら奏にも話をきいてもらわないとね」
「だな、空は大丈夫かな・・・・心配だ」
「君の世界は平和?」
「まさか、戦争ばかりで毎日誰かが死んでるね」
「何だって!空・・・・」
「それに、この世界の人間は魔法が使えないみたいだし、すぐ死んじゃうかも」
「お前っ!」
「マジで」
「ムカつく!!」
「落ち着いて」
そう言えば、奏って言ったよね
奏って言えば、確か冷酷な王子だと聞いた事がある
でも、ここは別の世界
「俺はどうすればいい?」
「空が戻るまでここに」
と言うか俺も空なんだけどね
紛らわしいけど仕方がないか
「いてもいいの?」
「いてもらわないと困る」
「あそ、屋根があって食事が出来れば問題ないしね・・・・あとブタも一緒にね」
「わかった」
とんかつはどうなったんだろう
おかしな姿になってしまったけど心配だ
でも、今はここにいたほうがいいかも
別に死んでもいいけどもう少しこの世界を見てみたいと思ったんだ
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