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召使い
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「いーずみ? 珈琲まだかしら」
「はい、今持って行きます」
叔母さんに呼ばれて淹れたての珈琲を持っていくと遅いなんて言われて、次は早く朝ご飯用意しろと命令された。
僕はそれに返事すると準備しておいた朝食を食卓に並べる。
「全く……言わなくても出てくるのが当たり前でしょ? 待たせるんじゃないわよ」
「ごめんなさい」
「もういいわ。下がりなさい、邪魔よ」
「はい」
僕がキッチンに入っていくと、さっきまで機嫌の悪かった叔母さんと今で黙って新聞を読んでいた叔父さん、テレビを見ていた従兄弟の裕太くんが仲良さそうに話し出した。
僕はこの家に召使いとして売られた。
僕の身体に飽きたお父さんとお兄ちゃんに「しばらくこいつやるよ」って叔父さんの家に引き渡されたんだ。
そこから僕はこの家で毎日毎日家のことをやってきた。
掃除も洗濯も、料理も必死に覚えた。
でも、僕は自分が作ったご飯を食べたことがないんだ。
お前はうちの子じゃないから食べるんじゃないよって言われたんだ。
「和泉、食器片付けなよ。お金、ここ置いておくわ」
叔母さんの声に返事をしてキッチンから出て行くと、空っぽのお皿とコップが置かれてるだけの無人のリビングになっていた。
僕は食器を洗って片付けたら、机に置かれた500円を持って学校に向かう。
毎週月曜日と水曜日だけお金がもらえるから、そのお金でペットボトルの水と飴玉やチョコレートだけ買ってるんだ。
金曜日までお金が多めに残ってたらプリンを買って食べるのが一番の幸せなんだ。
プリンだったら、食べても身体が拒絶しないからちゃんと全部食べられるから。
学校に向かう途中でコンビニに寄ってペットボトルの水と、今日は飴玉を買ってかばんに入れて一つ飴玉を舐めながら学校に向かう。
今日、体育なくてよかった……もう一本水買わなきゃいけないところだった。
*****
学校に着くと、僕は教室に入って自分の席に座る。
「和泉くん、おはよう」
「おはよう」
隣の席の子に挨拶されたから、僕も挨拶を返してにこっと笑う。
笑っていれば、何もされないから。
笑っていれば、必要以上にみんな話しかけてこないから笑うの。
体力はあまりないからじっとして静かにしていたい。
家のことは、知られたくない。
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