アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
08
-
「木前!」
あれから1週間。
千葉の来ない生徒会室に珍しい訪問者がやってきた。
風紀委員長、暁星雲。
「何のようだ、暁」
「お前渚の件に関わっているそうじゃねぇか」
その言葉にピクリと体が反応してしまう。
どうやら千葉はあのときのことをようやく話せるようになったらしい。
そして言ったのだろう、あの場には俺もいたと。
「千葉には頬以外の外傷はねぇだろうが。あのときの不良共は退学処分になったことを聞いている。これ以上何を知る必要がある」
「渚はお前がいたことしか言わねぇ。お前が何をしていたのか事情を聞く権利がある」
どうやら千葉は俺の名誉のため、俺があのとき何を言ったのか、何をされたのか言っていないらしい。
正直に言うとそれが助かる。
こいつにだけは、知られたくねぇことだ。
「お前には全く関係ねぇことだよ、暁。出ていけ。お前と同じ空気を吸ってると反吐が出る」
「チッ。それはこっちのセリフだ」
悪態しかつかない俺に嫌気がさしたのか、ドアを勢いよく閉めた暁は生徒会室を後にした。
「会長?さっき暁がすげぇ顔で歩いてたけどなんかあった?」
暁と入れ違いで入ってきた西谷が不思議そうな顔で俺を見る。
「さぁな」
「知らないんだったらいいけど。それより会長、今日も早いな。最近遅くまで残って早くに来てるみたいだけど、ちゃんと寝てる?目の下の隈、すごいよ」
…………この1週間、ろくに寝れていないのは自分が一番分かっている。
寝ようとしても目を閉じるとあのときのことを思い出してしまって目を閉じることが億劫になってくる。
だからこうして提出期限がまだまだ先の仕事に手をつけ、なんとか気を紛らわそうとしていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
8 / 50