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きっかけ
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「...仕方ねえな、話せばいいんだろ」
よしきた!
そうだ話せばいいのだよ話せば!
なんだろう、このワクワクドキドキする感覚は
でも少しだけ緊張...
「高校入りたての頃だったか...?公園で寝てたらよ...突然空き缶投げられて...それが目に当たって怪我したんだよ、俺この辺じゃ結構喧嘩やらかしてっから多分俺の事うざがってた奴がわざと俺めがけてなげたんだろうけど」
...ん?うん、いや...えとまず聞こう
「...う、うん...で?」
「...あぁ、それですげえ腹たって、犯人探しついでに苛立ち発散の為にその辺の奴捕まえて喧嘩吹っ掛けてさ」
こっわ!なんだそれ!
苛立ち発散の為に関係の無い凡人を巻き込むなんてなんて最悪な奴だったんだ!!
いや...根本的な所は今も変わってない気が...
まぁいいや...続きを聞こう
「...まぁ1,2時間喧嘩しっぱなしで流石に疲れてた時に......俺の前にびびりまくったちんちくりんな野郎が現れてよ、そいつがさ...」
ち、ちんちくりん...
すげえ失礼だなこの人
てかなんかこの話...
「...震えながらあげますっつってこれ渡してきたんだよ」
そう言って楓が財布から取り出したのはだいぶ汚れてへにゃへにゃになった一枚の絆創膏
...え、いやまって?ちょっとまって?
み、見覚えが...あるような...
「...その時はなんだこのちんちくりんって思ったが、後々もらった絆創膏みて、こんな絆創膏一枚で喧嘩した怪我がなおるかっつーの、馬鹿じゃねえのあいっって思った....けど同時になんか和んでさ、気持ちが」
何度もちんちくりんって言うなよ!
もうこの話のオチわかったんだから俺!
「...そのあと喧嘩とかやる気なくして結局その日は真っ直ぐ家に帰った...でも何故かそのちんちくりんの事が忘れられなかった...自分でもきもいと思ったけど、好きだって自覚するのは簡単だったな...たったそれだけの事なのに馬鹿らしいだろ?」
呆れるように笑いながら話す楓
...なんか楓じゃないみたいに表情が柔らかくて言葉遣いもふわふわしてる...気がする
懐かしむような表情に見惚れる
やっぱり俺の恋人はかっこいい
「...まぁ好きって自覚したって何処の誰かって事もわかんねえしもう会えねえって思ってたんだが、まさかの同じ学校でな...お前だよ翼、覚えてるか?」
オ、オボエテマス。
腕とか顔とか血まみれにしてたあの恐ろしい不良様ですよね
ててててててててか、その空き缶って!!!
俺がゴミ箱目掛けて投げた奴ぅぅぅぅぅ!!!!!
ふ、不良が寝てたベンチの隣にゴミ箱があったから近づけないと思って投げ入れようとしたらまさかの手が狂って不良様に直撃したんだよな
あの時はまじで死の危険を感じた
不良様すぐに目覚めるし、そりゃあもう鬼の形相で
すぐ逃げたけど...やっぱりあれじゃん?
怪我させたのに逃げるとか罪悪感半端ないじゃん?
だから俺一生分の勇気振り絞って話しかけて絆創膏あげたんだよ!!!!!!
あんな恐ろしい体験した事はなかった事を覚えています
...で、でも俺のノーコンぶりが今の俺達をつくってるだなんて
人生なにがあるかわからないもんだな
あのとき投げ入れようとしてよかった
あのとき不良様に直撃してよかった
あのとき逃げただけじゃなくて絆創膏渡してよかった
だってそのおかげで今の俺らがあるんだからな
「...ところでその空き缶投げた奴誰なんだろうな、まだ犯人見つかってねえんだよ」
「...さ、さぁ??誰でしょうかね、はは」
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