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狼という事を思い出したワケで…。
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ハンターに促されて悠希は食料となる実を抱えると、昨夜のダメージの為、若干ヨロヨロとしながら後をついて巣穴へと戻った。
するとそこにはハンターが捕まえたのだろう、野うさぎが数羽置いてあった。
ハンターが狩りで仕留めたに違いない。
動物が好きで、そういう場面は正直苦手だ。
だから救える命は見過ごせず、今まで何度も傷ついた動物や巣から落ちた雛等を助けていた。
野生は野生のままに。
無闇に手を出してはいけない。
そこで命が尽きても、それが運命と言う人々も居る。
それならば、そこで運良く悠希と出会い助けられた動物が命長らえるのも、それもまた運命ではないだろうか…。
悠希の考えは博士も同様に思っている事で、これまでに沢山の命を救ってきた。
「え、僕の為に?」
ハンターが仕留めたウサギを咥えて悠希の前へと持ってくる。
ハンターの鋭く大きな牙が覗く。
咥えられているウサギは絶命しており、可愛い顔を見ると少し切なくなる。
けれど野生とはそういう物で、狩りをしなければハンターは生きてはいけないのだ。
悠希は一度目を閉じて、ゆっくりと開いた。
ハンターは生きる為に当然の事をしているんだ。
そして考えてみれば僕だって鶏や豚、牛の肉を食べている。
声はしなくとも野菜や果物も生きている。
食物連鎖なくしては、誰も生きてはいけない。
「ありがとうございます。でも、僕には生のお肉は難しいかな」
悠希は苦笑すると、手にしていた実を食べて見せた。
「僕にはコレがあるから大丈夫だよ。ハンターが食べて」
そう言って悠希は他のウサギを抱えると、ハンターの目の前に置いた。
そこで、よく狼が群れの中で優先的にリーダーが食べる事を思い出し、リーダーのハンターへ譲る態度を示した。
ハンターは暫く逡巡した後に、悠希の言いたい事を理解したのかウサギを器用に数羽咥えた。
それから巣穴を汚さない為か、少し離れた場所で食事を始めたのだ。
ガツガツと勢いよく食べ始める。
悠希はハンターのその姿に、やっぱり特別とはいえ狼なんだなぁ~と見つめるのだった。
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