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野生の王国ってヤツでして…。
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悠希が思わず叫ぶが、ハンターには聞こえていない様だった。
悠希が見た瞬間は、巨体を身軽に翻し黒狼の上に牙を剥いて飛び掛かった所だった。
その姿はいつもの悠希の伴侶として慈しむ様な目ではなく、ギラギラと光らせまるで魔界から現れたかの如く形相だった。
黒狼も直ぐ様反撃に出る。
大きさでは若干ハンターが勝るとはいえ、どちらも大差ない。
お互いに噛み付きに掛かるものの、譲らない攻防。
人間の出番など、どこにもない。
ハンターが一瞬先に首すじへと狙いを定めて牙を剥いた‼
が、それを寸ででかわして今度は逆に噛み付きに掛かる黒狼だったがハンターは上手く避けると狙っていたのか、難なく噛みつき返した。
『ギャイイイーッギャォッン‼』
ハンター…‼
悠希は思わず口元を手で押さえた。
ハンターが黒狼の肩口へと噛みついたのだ。
黒狼の悲鳴が響いたと思うと、同じく巨体を翻しその体当たりでハンターを退けた。
ハンターは体当たりされた勢いを利用して上手く状態を建て直し、勇ましく四つ足で仁王立ちする。
その頼りになる逞しい後ろ姿に悠希は胸がキュンッとなる。
「は、ハンター…」
悠希を庇う様に立ち塞がるハンター。
邪魔をしてはいけないと思うのに、つい名前を呼んでしまう。
すると、ハンターの尻尾がブンブンと揺れる。
大丈夫だ。
俺が守る。
そう言われた様な気がする。
悠希はハンターの背中に抱きついた。
そんな事をしている時ではないというのに。
すると、黒狼がチャンスとばかりに走り逃げる。
ハンターは追い掛けようと体を動かしたが、ハッと我に返り背中に張り付いた熱源に顔を向けた。
愛しい伴侶が恐怖を味わったのだ。
このまま置いてはおけない。
そう思ったのか、ハンターは黒狼を追うことはせず腰を降ろした。
それから悠希の髪に鼻先を突っ込んで、優しくグリグリする。
それから耳元をペロペロ優しく舐めて、最愛の妻を労るのだった。
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