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小競り合い
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「アンタウザい。どんだけアンタが僕のことを好きだって、僕が女の子にしか興味ないこともこの先アンタのことを好きになる見込みが0.01%もないことも変えられないんだからさっさと帰れよ。しつこい男ってキモい」
「なっ、な…んだとッ!」
楠木でした。
これ修羅場ってやつか?楠木は自分に告白してくる奴が嫌いだから容赦なく罵詈雑言で相手の心を叩き壊す癖がある。
どんなに真剣に告白しようと、言葉のナイフで滅多切りにされるのだ。
相手は多分先輩。先輩はワナワナと震えており、今にも爆発寸前といった感じで赤くなっている。
「てめぇナメた口ばっかりききやがって……!ぶっ殺す…いや、ブチ犯してやる…」
面倒臭そうな雰囲気だったので放置しようとしたのだが、その言葉と共に楠木に飛びかかろうとした先輩を咄嗟に羽交い締めにした。
「先輩先輩落ち着いて下さい!」
突然出てきた俺に双方少し驚いたようだったが、頭に上った血は治らないのか再び楠木に飛びかかろうと先輩が暴れ始めた。
「離せ!てめぇには関係ねぇだろ!お前に俺の気持ちがわかんのか引っ込んでろよ!!!」
「まぁまぁまぁ、とりあえず冷静に」
「お前の気持ちなんかわかるかよ話したこともない男に3年間恋し続けるとかなにそれキモ!キッモ!!!」
「おい楠木だまれ!」
「ッんだとぉぉおおおお!!!」
「ちょ、先輩!!」
先輩は過激に燃え上がるし楠木は楠木で面白そうに油をドバドバ注ぎ込むしで収拾がつかない。
先輩はわりと体格がいいしスポーツをしていたのか筋肉質なうえ俺より身長も高いのでそろそろ羽交い締めも限界だ。
俺はとりあえず先輩を楠木と逆の方向に向かせ、力を抜いた。
すると楠木の方向へターンした先輩が正面になった俺に体当たりしてきたので、最小限の力で先輩を捉えられるように少しかがみ気味になった先輩の頭部を抱き締めた。当然だが先輩の渾身の体当たりを俺が支えきれるわけがなく俺に頭を抱き締められた先輩もろとも床に倒れた。
「ウッグ…!」
背中に大きな衝撃があり、突然圧迫された内臓が呼吸を詰まらせる。
「離せ!」と頭を上げようとする先輩を必死に抱き締めその苦しみに耐えた。
楠木はなにが面白いのかゲラゲラ笑っている。とりあえず先輩を狂わせる元凶となった楠木に「帰れ」と指示を出すと「はいはい」と手をひらひらさせながらその場を去った。
先輩は尚も「待て!!逃げるな」等と叫んでいるので少し落ち着いた声で「先輩」と呼びかけた。
きつく抱きしめていた腕を緩めて頭に手をかける程度にすると目のつり上がった先輩と視線が合った。
「てっめぇ邪魔しやがって!!!」
「落ち着いてくださいよ」
あの楠木に3年間も恋し続けたなんて可哀想だ。しかし同時にすごく純粋な人なのだということがわかる。
「先輩、あいつをボコボコにしたところで先輩の3年間は帰ってきませんよ?」
「あ?てめぇ知ったような口きいて調子乗ってんじゃねーぞ」
「俺は同じ人間に3年も好意を寄せ続けて童貞守るなんてめちゃくちゃ凄いことだと思います」
「バカにしてんのか!!童貞じゃねーし!!!」
「先輩にはもっと健気な子が似合いますよね。ほのぼのした可愛い感じの、ちょっと鈍感で程よく地味な、でも気がきく」
あれこれ委員長っぽくない?
「…………たしかにタイプだけどよ…お前なんなんだよ」
先輩は少しづつ落ち着いてきたようで、モゾモゾと上体を起こし俺に馬乗りになる形になった。
「…おい、杉原じゃねぇか」
「え?今更?」
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