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会長様
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書記の都賀屋が俺の親衛隊長である杉原に好意を抱いているのはかなり有名な話だった。何がきっかけかはわからないし本人も具体的なことを言おうとはしないのだが、初めは面白く思っていなかった都賀屋の親衛隊も、積極的な接触をはかることができずなんの進展も見せないシャイすぎるやつの恋路を見ているうちにだんだんと可哀想になってきたらしい。最近ではさりげなく都賀屋の美談を杉原の耳に挟ませて援護射撃を行う者もいるようだ。
俺としては最初こそどうでもいいと思っていたが、杉原と接してみて案外に面白いやつだなと思うことも多々あり最近では都賀屋の好意に嫉妬のような感覚のモヤモヤした何かを感じることがある。
それは別に俺が杉原に惚れたとかそういうことではない。と思う。
ただ、杉原が都賀屋の親衛隊なら別に全然良かったのだ。下手に俺の親衛隊であるから自分の中でどこか杉原を自分のもの、或いはそうでなくとも、この学園内で1番あいつを支配するに相応しいといえばもちろん俺だろう、みたいな自意識が芽生えているものと思われる。
おおかたこのモヤモヤはそういう、自分の弟が親友を指差して「こんなお兄ちゃんが欲しい」と言った時のあれに似てる。俺はさしてブラコンというわけではないが10歳年下の弟、結(ユエ)が都賀屋にそう言った時今のような感情になったのを覚えている。
「珍しく不機嫌だね衛。いつも食えない顔してるけど、そっちの方が人間味あっていいよ」
ニヒルな笑みを浮かべながら頬杖をついてこちらを見る樫本と目があった。
「そりゃ俺にも面白くないことはある」
「そうなの?百戦錬磨の衛の思い通りにならないこと、ねぇ」
そう言いつつ扉の方に目を移す樫本。こいつは時々途轍もない勘の良さを発揮する。そういうときは決まって、他人の弱みに関係している時に発動するという根っからのいじめっ子だ。
「まーさか、その原因がさっきの奴だったり。」
俺は頬杖をつき、余裕あり気なポーカーフェイスで樫本を見つめる。
口元には微笑をたたえ、樫本の言う『食えない顔』を出す。
「都賀屋と杉原とかいうビッチと衛で三角関係ドロドロ昼ドラバッドエンドとか」
「ははっ、お前の脳ミソ少女漫画かよ」
笑ってやると途端に不機嫌な顔になった樫本は「衛はマジで読めないから嫌い」と呟き2杯目のコーヒーを自らつぎにいった。
「あームラムラする」
でも今日は書類が多いからセフレ呼べねぇな……
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