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真実① 全ての始まり
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「事の始まりは、先週の金曜日だ」
「知ってる、その日から優、おかしいもん」
…鋭い奴。
そう、全ての始まりは、金曜日だった。
バイトが珍しく20時に終わって、次の日も週末だからと久しぶりに秋斗と翔が住む家に向かった。
翔は、俺と同じ施設で育った、二つ年下の幼馴染だ。俺が入所する前から施設にいたから、紫苑よりも更に付き合いが長い。
翔は俺にとって弟みたいな存在だけど、今年の春に秋斗に引き取られて以来全然会っていなかった。秋斗に会うのも久しぶりだった。
「おーい、秋斗、翔、いるかー?」
2年前、俺がまだ施設にいて秋斗が大学に通いながら一人暮らしを始めたころ、「いつでも来ていいぞ」とスペアキーを渡された。それを使うのは、この日が初めてだった。
収入が平均より多い秋斗の家は、とにかく広い。3階建ての家で十分なのに、隣には秋斗専用の事務所もあった。
その事務所は家の外からも中からも入れるらしいが、専用の鍵がいる。
「おーい、秋斗!翔!」
俺は三階まで上がって探したが、相変わらずシンとしていた。
(そういえばさっき事務所に通じるドアが開けっ放しになっていたな…)
そこを覗いてみて誰もいなかったら帰ろうと決めた俺は一階に下りて、事務所行きのドアを通り、目の前の階段を延々と上った。
上りきった先にあったドアのノブに手をかけた時。
「助…けて…誰か…」
部屋の中から、誰かの声が聞こえた。
翔の声が。
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