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花の根には毒があるらしい
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青年×青年??
(喀血)
美しい花には棘がある
でも、棘ならまだ表面だからいいよね
だって、地中に埋まった根に毒をもつ花すらあるんだから……
君がそう言ったのはいつのことだったか
君が臥せる部屋から見える庭には
根に毒を持つといわれる花が咲き乱れている
炎が燃えるように赤く
「今年も綺麗に咲いたね……」
水差しと薬を乗せた盆を持ち
君の枕元にそれを置くと
君の横に座り花を見ながら君にいう
「また、君は……」
外の花に向けていた目を俺の方に向き直し
眉をはの字に垂れ下げて困ったような声を出す君
来ちゃいけないのは分かっているし
何度もいわれた
君の病はうつるものだってことも
何度も聞いた
でも、
うつっていいよ
うつしてよ
だって、君のそれは治らないし
君はもう長くないんでしょう??
俺を置いていくんでしょう??
「大丈夫だよ、俺、強いから……」
そう笑って君にいう
「全く……そんな、強いとか…そんなんじゃ、……っ…ひゅっ……げほ、げほげほっ…………」
北風か吹くような息を吸う音が君の喉の奥から聞こえたかと思うと
息継ぎが出来ないほどの激しい咳が続く
起こされた上体が前に傾いて
口元を覆う右手に
ぎゅっと白いシーツを握る左手
骨ばったその手は
あの日優しく俺を撫でてくれていたものと同じだろうか??
君の名を呼びながら君の背を撫でる
「さわっちゃ、だ…め…げほっ……っ……ぐ……けほけほっ……」
ぎゅっと閉じられた瞳が薄くあけられて俺をちらりと見つめ
ぜぃぜぃと苦しげな息遣いの中
君に触れる俺の手を跳ね除けようとする
それでも
弱りきった君の手では俺を跳ね除けるなんてできやしない
ねぇ、俺もその苦しみの中に連れて行って??
「っく……ぐっ……けほっ……」
何度目かの咳の後に
大きめな咳が零れ
ごぽりと君の喉が鳴った
右手の指の隙間から赤いものが流れ落ち
真っ白なシーツを染め上げる
君から咲いた赤い花
毒を多く含んだ花
俺が今、恋焦がれるもの…
「いい、よ…君のものなら……君の毒なら……」
咳が止まらずに君は息を忘れ
ふと意識を放棄した
ぐらりと傾いた君を支え
優しく布団に横にしてやる
赤く色づいた口元を指根で拭いとると
ぺろりと指先を舐めて目を閉じた君に言う
君は許してくれないと思うけど
君がいなきゃ俺は生きられないのだから
君の毒が俺にも効けとそう願いながら
唇を重ね君の赤をすする
でも…これが俺に効かなかったら??
そんな時は…
君が朽ちる時
庭に咲き誇る花の根を俺は飲もう
そしたら、君と共にいくことできるよ、ね??
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