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来ない君はどこに消えたのか
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大学生×大学生
(腹痛)
左腕に着けた時計を眺め君を待つ
気が付けば
待ち合わせの時間から5分が過ぎていて
少しはぁと溜息を吐く
今日は君とのせっかくのデートなのに
楽しみにしていたのは僕だけだったのだろうか
待ち合わせ時間よりも早めに来た自分がバカみたい
待ち合わせの公園のブランコ前に立てられた柵に軽く座り君を待つ
待っても待っても君は来ない
何かあったのだろうか
スマホのホームボタンを押して画面を覗くが
何の通知もない
気が付けば待ち合わせ時間から30分は過ぎていて
もしかしたら僕が時間を間違えていたかも、と
君とのLINEを見返せば
ちゃんと時間を言っているし
君も確認をとって了承している
さすがにおかしいな、と思って電話をかける
呼び出し音がして
声がして
出たと思って「あ……」と声を発しようとすれば
それは留守番電話に繋ぐか否かの機械音
ぷちっと通話終了ボタンを押して
またはぁと溜息を吐いた
連絡もない
電話もでない
どういうことだろう
もうコレは何かあったとしか考えられなくて
君の家に向かう決心をする
君の家に向かう途中
パトカーと救急車が見えて
もしかしたら…なんて思ってじっとそこを眺めてしまう
車と自転車の事故らしく
その自転車が君のでないことに
少しほっとしてしまった僕がいた
事故を起こして怪我をした人には申し訳ないけれど
君じゃないことの方が僕には重要だった
君に何かあったら僕は気が気じゃない
歩いていたはずの足が
気が付けば駆け足に変わっていて
君の家に着く頃には軽く息が上がっていた
上下する肩を落ち着けながらチャイムを鳴らすが
何の反応もない
君は一体どこに消えた??
家にいない、待ち合わせに来ない
どこにいる??
不思議に思ってスマホを再び開き画面を眺めていると
家の中からかたんと音がして、人の気配を感じた
嫌な気配を感じて
僕は君の家の玄関の戸に手をかける
ゆっくりと開いた家の中は閑散としていて誰かがいる気配は感じられない
そっと君の名を呼ぶが返事もない
「おじゃまします」と軽く挨拶をして
中に入り込むと君の部屋を目指す
何度も訪れたことのある君の家
君の後を追いかけずに入るのは初めてで緊張する
君の部屋の前に着くと苦しげな君の声が聞こえた
焦って戸を開くと
パジャマ姿の君は布団から頭だけをだして
ベッドの上で身を丸めていた
「ちょっ、どうした!?」
君の元に駆け寄り君をすっぽり覆う布団を剥ぎ
君の顔を覗き込む
覗き込んだ君の顔は青白く
額には汗が滲んで細い髪が艶やかにはりついていた
ぎゅっと閉じたれた目を薄く開いて僕を見る
じっと僕を眺めて
僕だと確認すると唇が小さく開いて僕の名を呼ぶ
熱くこもった声が不謹慎にも色っぽい
「ま、ちあわ、せ……ごめ……」
僕の名に続いて吐き出された言葉はとても弱々しい
何かに耐えながらで途切れ途切れ
「いや、そんなのはいいんだけど…どうした。」
「腹、痛くて……」
「腹??トイレは??」
「何回も、行った……けど……まだ、痛い……」
数はなく何回もという表現が君の腹の不調をさらに酷いものと確認するには充分だった
布団越しに君の腹を撫でる
「なんか、変なもんでも食った??」
君に限ってそんなことはないと思うけど
腹が痛いで思いつくのはそれしかなくて
「そんなの食って、ない……あ、それ、気持ちいい……」
「ん??」
「手、気持ちいい……摩っててくれると、嬉しい。」
腹痛って何が原因になることあるだろうと考えながら
君の腹をゆっくりゆっくりとのの字に摩ってやると
君の険しい顔が少し和らいでそんな台詞
そうか、気持ちいいのかと思って
何も言わずにそれを続ける
もう原因とか何でもいい
君の痛みが治まるなら
しばらくして君から聞こえるすぅっという寝息
緊張していた身体がほどかれてだらりとした状態になった君
痛み和らいだかと思うと腹を摩る手を止めて
君の頭を撫でる
そして、気が付けば僕も傍で寝ていて
ぱちりと目を開くと君の丸い目が僕を眺めていた
「せっかくのデートだったのに、ごめん。」と君が言う
あぁ、そう言えばそうだったな、とか思って
「腹は良くなったのか??」と聞けば
「うん。ありがとう。」と返事が返ってくる
「そうか…それならいいよ。」
僕はそう言って君の頭をがしがしと撫でた
だって、デートなんかよりも元気な君の傍にいる方がいいんだ
だから……
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