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甘いものが足りない
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保健医×高校生
(貧血)
鼻につく消毒液の匂い
スカイブルーのカーテンで仕切られて薄暗い空間
そよそよと天井につけられた空調から風が出ていて温度が丁度いい
そのためか上に掛けられたふわふわの毛布が夏だというのに暑く感じることなく心地がいい
頭を動かすと枕の中身のパルプがざらっと音を立てた
その音にそこの主は気が付いたのかざっと音を立ててカーテンを乱暴に開く
カーテンが開かれて光が入ってきて眩しくて毛布を深く被る
「お目覚め??」
カーテンを閉じる音が聴こえて目だけを出す形で頭まですっぽりと被った毛布を少し下げると声の主を見る
眼鏡越しに見える鋭い眼光
あぁ、コレは怒っている
「また、朝食抜いただろ。」
ベッドの横に座られて、毛布を剥ぎ取られて顔をじっと見られる
「ちゃんと、食べた、し!!」
「ほう??何食べたんだ??」
「グレープジュース。」
「は??」
「……グレープ、ジュース。」
自分の悪気のない解答に相手の目がぴくりと動く
怒らせている
それは分かってはいるんだけれど、でも、自分にとってはちゃんと朝に何かを口に含んだだけ許してもらいたいし認めてもらいたい
「お前、そんなだから、倒れるの。分かってる??」
頬を片手で摘まれて唇をぶにっとされる
地味に痛い
いや、そんなこと言われたってさ
「倒れない時もあるし。」
ぷいっと顔を相手から背けて頬を押し潰す君の手を跳ね除ける
「そう言う問題じゃないだろう??お前は育ち盛り、ちゃんと朝食べなきゃ頭働かねーだろ??」
「そんなの、知らない。」
そう、知らない
だって、そもそもココに運んでくれなんて誰も頼んでないし
「ホント、生意気な口だよな。」
そう言って唇に何かが当てられた
唇の隙間からそれが口の中に入って、コロンと音を立てた
「!?」
背けた顔を戻して相手を見る
相手はしてやったりな顔をして俺を見ている
「グレープジュースと対して変わらねーけど、さ。」
手に握られた赤いパッケージでカラフルな飴の絵が描かれた缶が振られてざらりと音を立てる
「コレ、常備しとけよ。で、倒れそうになったら食べろ。」
そう言って君が俺にそれを手渡した
こいつは何を言ってるんだ、か……そんなの実行するわけないじゃん
めんどくさい、し
なんて、それをもらった時は思ってたんだけど、さ
気が付いたら飴を舐めるのが日課になってるよな、と
口の中でころころと飴が揺れる
倒れる前とかじゃないんだけれど
軽くなっていく缶
なんだか、寂しい
中身が無くなったそんな日
倒れる前の前兆
欠伸が仕切りに出て、じわりと嫌な汗が出てきた
胃が掻き回されているかのように気持ちが悪い
目の前が靄がかかったように白くて、足を前に踏み出すのが怖い
ヤバい、ヤバイとは思っていたん、だよ??
でも、またこんなことになるなんて、ね
予想してなかったよね
目の前で怒ったように俺を見つめる君
ごめん、て
俺はそう思ってもないことを心に君を見つめた
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