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君から元気が消えたなら
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高校生×高校生
(貧血、嘔吐)
全校生徒が集まる朝礼
退屈な先生の話に欠伸が出る頃
とんとん、と肩を叩かれた気がして
後ろを振り向いた
顔面蒼白でふらつく君が
「吐き、そ……」
と呟いたのが先だったか後だったか
蹲った君が小さく嘔吐くと
ばしゃりと音が響く
オレンジ色の床にできた
白く粥状の水溜り
一瞬の出来事で
目の前で何が起きているのか
その時理解ができなくて
みんなが叫ぶから
あ、吐いたんだ…とやっと理解した
大丈夫か??とか声を掛けてやるのが
普通なのに
屈んで君によって背をさすってやるのが
優しさなのに
突然のこと過ぎて
君がこんな状態になるのが
信じられなさすぎて
俺は君の方を向いたままその場に立ち竦む
事態に気が付いた先生が
生徒を掻き分けて君の元による
周りにいた人に指示を出して
君を保健室へと連れていく
そこに残された君の中身
感染するものだったら貴方たちにもうつっちゃうから
離れて、素手で触っちゃダメよ
すぐに片付けにくるから、と残された
綺麗な君に似つかわしくないそれ
眺めるうちに
何も出来ずにそこにいる自分がそれに投影される
君と仲良いのは俺なのに
君は俺を頼ったのに
何も出来ずに俺は此処にいる
突然の騒動で式が少し早く終わって教室に帰る
保健室に寄っていくとか
考える思考さえ失っていて
教室の席に着く
隣の君の席を見やれば
そこに君はいなくって
何でそこにいないんだっけ??とか
チャイムが鳴って授業が始まる
ぼおっと聞いて
頭に何も入ってこない
あの時、俺は何をするべきだった??
俺、今、何しているんだろう??
出席簿順に生徒を当てていた先生が
君の名前になった時にみんなに何故いないのか、と問いかける
保健室です
と誰かが呟いた
そうだ、君は保健、室
気が付くと俺は席を立っていた
本当に無意識に
急に立ち上がる俺を先生はどうした??と問いかけた、らしい
そこで俺は
保健室……とか呟いて
そんな記憶覚えてないんだけど
自分の足音だけが静かな廊下にこだまする
近いはずの保健室が遠くに感じて泣きそうになる
早く、早く君が見たい
保健室に着くと息が荒れていた
戸を開けて
先生がどうしたの??なんて言葉を言ったのも聞かないまま
君が眠るベッドを見つけて
君の元に駆け寄った
体調は回復したのか
青かった顔に赤身が帯びている
ゆっくりと眠っていて
胸が上下する
良かった、君がいた
俺は気が付いたら泣いていた
ぼろぼろと涙を零して
君の隣に立ちながら
「授業中でしょ、戻りなさい。」
先生がひそひそとした声で俺にいったが
何故か泣いていた俺を見ると驚きの顔
はぁと溜息を吐くと
「落ち着いたら戻りなさいね…」とカーテンをしめてくれる
その音に君が目を開けた
君と目が会うと泣く俺に君も驚いていた
「なんで、泣いてんだよ……」
「だって、だって…」
気が付いたら大泣き
声を発する度にしゃくりあげて声にならない
そんな俺に君は苦笑する
「そんな、俺が心配だった??」
上体を起こして俺に手を伸ばすと君がいう
あ、そうだ、そうだよ…俺は
こくんと首を縦に振る
「俺、何も、できっ……なかっ、た……だか、ら……お前、くる、しん、でる、の、に……」
ひくひくとなりながら
何とか発した声
君はそんな声に笑った
「ばーか。お前、おおげさすぎ。ただの貧血だし、突然だったし、何かできなくてもしょうがねぇよ。というか、心配してくれただけで十分だよ。ありがとう。」
そう言って君は俺を抱き締めた
いつもの君
いつもの君の温度
いつもの君の吐息
あぁ、君がいる
君は無事、だった
それから、それがお前が俺をからかうネタになったのは言うまでもない
だって、しょうがないじゃん
心配だったんだから、さ
いつも元気で
いつも傍にいるのが当たり前の君が
弱るなんて、考えられないんだから
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