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4月28日『ヨツバの日』(出会い編)④
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「でも、そんな保証…どこにもない……」
僕はきっと、君も傷つけて。
きっと、君も、僕から放たれたいと思うんだ……。
ぼそりと言葉を吐いたのは、諦めることを覚えた投げ遣りな自分だった。
「ゔっ……」
僕の言葉に、声を詰まらせたヨツバは、ぎゅっと顔を歪ませた。
「でも、…でもさっ。俺は、自信あるよ! 保証する!」
ヨツバの反論に、僕はきゅっと、眉根を寄せる。
「俺は、幸せんなれる!」
ヨツバは、ニッと歯を見せ、親指を立てて見せた。
四つ葉は、摘んだ人が、…持っている人が、幸福になれるものであって。
ヨツバという名の君が、幸せになってどうするのだろう。
君を買った僕が幸せになるはずじゃ、…なかったの?
思わず、ぽかんと口を開いてしまった。
それはただ、君が幸せになりたいだけ。
『居場所』が欲しいだけじゃないか。
…誰かの傍に、居たいだけ。
ぁ…。
そっか。君は、僕の隣に…、居てくれるんだ。
僕が、どんなに君に危害を加えようと。
僕の愛が、どんなに曲がっていようと。
多少の痛みは、『居場所』の為に我慢できる…、そういうこと、なのかな。
君は、僕の傍に居てくれる……。
それは、お金で買える”幸せ”…なのかもしれない。
ふと冷静な自分が、顔を覗かせた。
「彼は、いつも、あんな感じ…なのでしょう?」
絆されそうになる心に、ストッパーをかけようと、さっき微かに笑った黒マスクに、こっそりと問うた。
黒マスクは胸元から真っ黒なカードを引き出し、僕に向けた。
カードの中身は、ガラスの向こうのヨツバには、見えない。
『これほど真面目な売り込みをするのは、初めてです』
仮面の奥で、くっと頬が上がった感じがした。
『いつもは、ぼんやりこちらを眺めているだけです』
あぁ。もう、……絆されてしまうしか、ないじゃないか。
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