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5月23日 『キスの日』①
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「んーっ」
口を真一文字に閉じ、瞼を伏せたヨツバの顔が視界に入る。
寝起きでぼんやりとする僕に、ヨツバが顔を寄せていた。
朝から何を考えているのやら。
僕に触れる少し前で止まったヨツバの顔。
睡魔に負けそうになる瞼を押し上げながら、薄目で見やるヨツバの顔は、微かにニヤけて見える。
様子を窺うように、ちらりと細く開かれたヨツバの瞳は、早くと何かを急かしているようにも見える。
「何ですか……?」
寝起きで不機嫌なままに声を放つ僕に、ヨツバの唇は尖る。
尖らせた唇が、僕のそれに触れる。
微かに触れ、離れたヨツバの唇が、そのまま言葉を紡ぐ。
「今日はキスの日なんだって。挨拶は全部、キスでするって聞いたよ…?」
おはようも、おやすみも、いただきますも、こんにちはも…と指折り挨拶の言葉を並べるヨツバに、はぁっと小さく息を吐く。
「そんな話、聞いたことないですよ? キスの日では、ありますけど…」
訝しげに言葉を放つ僕に、ヨツバは、きょとんとした顔を見せた。
「露亜が来たら、こんにちはって、キスするんですか?」
首を捻る僕に、ヨツバは、うぇっと気持ち悪そうに舌を出した。
「また、露亜じぃに騙されたっ」
口を尖らせたヨツバは、むぅっとなんとも言えない声を立てた。
寝起きで重たい身体を起こし、ベッドから出た僕。
ぐっと腕を伸ばす僕に、ヨツバは、にかっとした笑みを浮かべる。
「ま、いいやっ」
立ち上がった僕の正面に回り込んだヨツバは、ニコニコと笑みながら、僕を見つめる。
「せっかくのキスの日なんだから、一杯、キスしよ?」
ヨツバは、小さな子供のように唇を突き出し、背伸びをしながら、んーと顔を寄せる。
その顔の幼稚さに笑ってしまう。
僕は、ヨツバの後頭部を掴み、粗めに引き寄せる。
重なる唇に、気持ちよさげに唇を開くヨツバ。
隙間から差し込んだ舌に、ヨツバの短い舌が絡まる。
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