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31話
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「…はぁ」
深い溜息が出る
「村上先生?どうしたんですかー?」
同僚の山本先生が心配そうに顔を伺う
「いや…別に…なにもないです」
「?…そうですか、あまり溜め込みすぎないように」
ポンポン、と肩を叩かれ笑いながら
教室へと入っていった
「…そうですね」
全然切り替えれてない、全然ダメ…。
そろそろあみちゃん達が来る時間だな
はぁぁぁ…気が重い…
肩を落とし、頭がマイナス思考になっていく
「せんせー!!おはよーございまーす!!!!」
!?
来た…!?
「(あ、れ…?一ノ瀬さんじゃない…?)…おはよう!」
あみちゃんと手を繋いでいるのは
一ノ瀬さんではなく、休日に一度会った桜井さんだった
「おはようございます、楓先生」
「おは、ようございます…えと、あの、一ノ瀬さん…は?」
綺麗に笑う桜井さんに戸惑いながら
先に気になったのが一ノ瀬さんじゃないという事。
「あ、陽くんは…寝坊しちゃって、それで今日は僕が」
陽くん?
「そうなんですねー、夜更しでもしたんですかね?…あはは、なーんて…え?」
「…っ」
待って
待って待って
普通に言ったつもりが、言っちゃダメだったかも…
「あの、桜井さん…?顔が赤いですけど、どうかされました?」
「っ、いや…何でもないです、すみません…」
何かあるじゃん
完全に昨日何かあったじゃん
なんで顔赤くしてんの
モヤモヤと晴れない気持ちを必死に隠し
由木に話しかける
「本当、珍しいですよね、一ノ瀬さんが…その、寝坊なんて…」
いつまでこの話をするのか
ただ、昨日の事が気になって言葉が勝手に溢れ出る
「…ね、彼最近は忙しいみたいで」
「へぇ、そうなんですね」
少しの沈黙が流れた
「ねぇねぇ、かえでせんせーみんなのとこはやくいこーよー」
その沈黙を破ったのがあみだった
「そっ、そうだね!行こっか!…では桜井さん失礼します」
「あっ、はい…よろしくお願いします」
ペコっと頭を下げて、保育園を後にした
なんだか
嫌な奴になってる
桜井さんを見ると、一ノ瀬さんに愛されてるんだなぁと
改めて実感させられる
この想いも、儚く散るのかな
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