アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
36話 不安
-
…♩
携帯が鳴る
「んー?誰だろ、携帯携帯っと…」
鳴り続ける携帯を探して、辺りを見回す
「あ、陽くんのか…あ」
「なにー?俺のー?」
携帯を手に取り、固まる由木
「なによ由木、携帯はよ渡してよ」
由木から携帯を取り、画面を見る
「…」
「れ、いこ…さん?」
声が震えた
着信元は、陽の元妻の玲子だった。
陽も目を丸くして驚いた様子で、通話ボタンを押した
「…おう、久しぶり」
通話しながらリビングを出て、寝室へと向かって行った
一人取り残された由木は、余計な事を考えてしまう
「何の用だろ…」
久しぶりに見た、玲子という字だけで
胸騒ぎがする
今まで連絡は取ってないって言ってた
だから余計に内容が気になって仕方ない
そんな彼女が何故連絡を?
色んな予測が交差してショート寸前
しばらく経って陽が戻ってきた
「陽くん…玲子さん、なんて?」
「え?あぁ、あみは元気かって話」
何だか顔が嬉しそうな陽を見て由木が続けて質問する
「それだけ…?」
「うん、そう」
凄く不安になった、不安で押し潰されそう
なんでそんな顔するの
なんで嬉しそうな顔するの
なんで
「陽くん…」
泣きそうになってる自分を押し殺して
陽の服の袖を掴む
「陽くん…嬉しかった?」
「は?」
「玲子さんから連絡あって、…嬉しかった?」
「何言うてんの?」
声色が変わった、もしかして怒った…?
「だっ…てさ、嬉しそうな顔して戻って来るし…っ、他にも色々話したんでしょ…?かっ、隠し事はなしって…陽くんが言ったんじゃん…!!」
自分でも驚く程ヒステリックになった
陽の事になると、どうしても歯止めが効かない
言わなくていい事、聞かなくていい事の判断もつかない
「玲子とはその話ぐらいしかしてない、なんも隠してないやろ。…憶測で話すな」
「…っ!、あ……ごめ、ごめん…ごめんなさい」
「もう寝る」
「やっ、待って!…待って、ごめんなさい…ごめん、ごめんなさい…っ」
由木の言葉に耳を貸さず、またリビングを出る
部屋には由木の泣き声が響いた
「ごめん、ごめん…陽くん…ッ…ひっく、ごめん…」
勝手に思い込んで、疑って、勝手に泣いて…最低。
最低
最低、最低、最低。
ごめんなさい
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
36 / 116