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38話 バーテンダー
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珠妃side
「たまちゃーん」
「うるさい」
「たまちゃん機嫌悪いねー?どうしたの?」
「どうもしてないから、ほっといて」
ついこの間夜中に呼び出して、仕事の話をして以来
陽からの連絡が一切ない
忘れてるのだろうか、はたまた無視してるのだろうか
モヤモヤする気持ちと、どこか寂しい気持ちとが
ぶつかり合いなんとも言えない状態だ。
「たまちゃん、カルシウム足りてないんじゃない?ほらおいしい牛乳あるからこれ飲んで飲んで」
「もーほっといてってばー」
しつこく話しかけてくるこいつは尊(タケル)
いつも来るお気に入りのバーのバーテンダーで
何故か友達のような感覚で接してくる
「たまちゃんこーんなに可愛いのに、ブサイクに悩ませる悪い子はだれなんだろーね?」
何それ、褒めてんの?貶してんの?
…どっちでもいいけど。
携帯を見つめて、電話帳を開き
ボーッと見つめる
「…はぁ」
「やだねーやだやだ、何ため息ついてんの?吸い込んでよ幸せ逃げちゃうよ」
「もう逃げてるよ」
そうだ、もう手遅れ。
陽の事が好きだったけど、もう叶わない
子連れでも全然問題なくて、受け入れる自信はあったけど
相手がいたんならもう何も言えない
いっつもそう
なんで本気に好きになった人とは結ばれないのかな
神様なんて大っ嫌い
もう信じてない、もう信じない
捻くれ者街道まっしぐらって感じ
「たまちゃんみたいな子、俺だったら絶対逃がさないけどね」
「は…?」
何言ってんのこの人、適当な事言ってんじゃねーよ。
「いやほんとほんと、たまちゃんすげータイプだもん」
「…それ、誰にでも通用すると思ったら大間違いだから。もう帰るわ」
弄られんのは御免。
他の人でやれよ、そんなこと。
「たまちゃん待って待って」
「待たない、帰る」
カウンター席を立ち
その場にお金を置いて出入口に向かう
その後を尊がついてきて何か言ってくるけど聞こえない
聞こうとしない、何も聞きたくない
玄関の取っ手に手をかけた時、
片方の腕を後ろに引かれてバランスを崩した
「っ、ちょ…何すんの」
「珠妃、俺結構マジで言ってる、さっきの事」
「…ふーん。…じゃあ、オトしてみて?俺の事。尊の言うマジなら。出来るよね?」
「言ったな?俺自信あるよ、絶対惚れさせてやる」
…ふん、できっこないね。
その辺の奴らと一緒じゃねーんだよ
俺はおちない。
「せいぜい頑張ってね?…じゃ」
そう言い残してバーを後にした
カラン、カランと鳴りゆっくり閉まる玄関を見つめる
「…ふふ、たまちゃん覚悟しとけよ。」
ニヤッと笑いまたカウンターへと戻る
その帰り道
また携帯を見つめた
もしかしたら、連絡が来るんじゃないか
もしかしたら、声が聞けるんじゃないか
まぁ、そんな事が無いのは百も承知です。
「…あースッキリしない、お風呂入って寝よっと」
入浴でリセットさせて寝るのが一番
そうと決まると早足で自宅へと向かった
「…ただいまーっと」
部屋は静まり返っている
一人暮らしだから当たり前だけど、つい言ってしまう
…♪
「ん?電話?…あっ!もしかして陽…じゃないな、誰これ?」
期待した相手ではなく、見知らぬ番号
「…はい?」
『あ、たまちゃん?さっきはどうも』
「…」
『あれ?もしもーし、ん?電波悪いのかな?たまちゃーん?』
「…なんで番号知ってんの」
不思議で仕方なかった
いつ教えた?てか教えたっけ?
『あ、俺何でも分かるんだわ、番号でも血液型でも』
「冗談はいいから、聞きたくないし」
『そうだね、今日機嫌悪いもんね、ごめんごめん。この前呑んでた時名刺落ちてたからそれ見て登録しただけだよ』
名刺…?
あぁ、撮影の時用に用意してたやつか。
そういえば整理してた時に見たのか、なんてやつだ。
「そんな事勝手にしないでね、訴えるよ」
『こわーい』
……ムカつく、何がしたいんだよ。
電話するにしてもこの時間帯はさすがにしてこないだろ普通!!
「…もう切るから、電話してこないで。番号消して。さよなら」
『番号消したらたまちゃんと電話出来ないじゃんやだよ』
「うるさいな、したくないんだよ俺は」
『まぁそれは気が向いたらねー、まっとりあえず今日はありがとう、おやすみ』ピッ
何も言わずに電話を切った
ちょっとだけ罪悪感があったけど
所詮、相手は尊だし問題ない。むしろその方が好都合。
さて、やっとお風呂に行ける
あったまって寝るとするか。
リビングで衣服を脱ぎ捨てて裸で浴室へ向かう
家では服は着たくない派で
この解放感が好きだ。
もちろん寝る時も裸じゃないと寝苦しい
シャワーを浴びて、心身ともに落ち着かせる
明日からはまた楽しい一日である事を願いながら
入浴時間を過ごした
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