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54話
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「今日の夜何してんの?ひま?」
「…ひま、じゃない」
「嘘、暇だろ。店来てよ」
ぐっ…
なんで分かったんだ…
「暇じゃねーし、行かない…」
「……ふーん。じゃあいいよ、別の子探すから」
フン、と鼻を鳴らし
ぶっきら棒にそう言い放った
「…っ!(べ、別の子…!?何だこいつ、いきなり浮気すんのか…!?)」
自分の意地っ張りを後悔した
いつもならこっちが「いいよ」って言うまで
言ってくるのに、今日はそんなに言ってこない。
「…好きにしろよ」
自分でも情けないぐらい声が出なかった
悔しいけど、素直になるには相当時間がかかるらしい
「帰る…」
「たまちゃん待って、そんな顔すんなよ」
「うるさい…ほっといて…他の奴と仲良くやっとけよ」
掴まれた腕から尊の体温が伝わる
また声が出ない
少し声が震えた
「気が向いたら来てくれたらいいから、無理にとは言わない」
「…」
スッと腕を離されて自由になった
足が勝手に動いて尊の家から出ていた
何も言わず、黙って出た
「…また、素直になれなかった」
帰り道、空を見上げながら呟く
後悔するんだったら
始めからしなけりゃいいんだけど
根っからの意地っ張りだから、そう簡単には直らない
愛想尽かされないだけマシなのかな
我慢してくれてるだけだけど
今日の夜、頑張って尊の店に行こう
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