アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
66話
-
「…」
リビングへ静かに向かいソファーで眠る陽を見つめる
寝息を立てて、ぐっすり眠る彼が愛おしい
「…陽くん、ねぇ起きて」
体を揺らし声をかける
起こすのが勿体無いくらい気持ち良く寝ている
「ん…?…由木?」
「陽くん、怒ってる…?ごめんね…」
まだ眠そうに目をこすり由木を視界に捕らえる
そして由木の話す意味を時間をかけて理解した
「………あー」
「素直になれなくて…ごめん…」
だんだん頭が下がり視線はフローリングに向く
まだまだ中身の小さい自分が情けなくて
それを口に出すのも恥ずかしいから、強がってしまう。
嫌われたくない、飽きられたくない。
けど
言葉が足りない
今は素直に全部吐き出さないと…
「本当は…不安だった、陽くんの服に付いた香水も…気持ちも…陽くんがどっかに行ってしまいそうで…」
「…うん」
「それで…昨日聞かれた時、言えばよかったんだけど言えなくて………言いたくなかった」
「なんで?」
「なんでって…だって、そんな事で不安になるのおかしいし、陽くんも面倒くさいでしょ…」
言葉が出る度に声も小さくなっていく
今だって不安だ
「はぁ…お前ほんまにアホやな」
「え…っ」
「そんな風に思ってもらえんのは嬉しいし、愛されてるなって思うよ。…てか面倒くさいって何やねん、思えへんわ。ちゃんと真剣に向き合うよ、由木が不安に思う事はもうせえへん」
「…陽くん…」
「何でも言うて、隠し事は無し。分かった?」
声がとても優しい
それに加え陽の大きな手が頭を軽く撫でてくれる
今までの不安や心配が嘘のように消えて行った
「ごめん…ごめんね、分かった…」
「分かれば良し。…こっちおいで」
「んっ…」
頭と体を包み込まれるように抱き締められ、長めのキスをした
「由木…昨日の飲み会な、あの由木の言うてる香水、女の香水ちゃうねん」
「えっ…?」
「半ば無理矢理オカマバーみたいなとこ連れてかれてそこで付いたもんやと思う」
「へ、へぇ…」
「あれ?ちょ待って引いてる?顔めっちゃ引いてない?」
「いやぁ…?全然そんな事ないよー…?」
「顔やばいで?何?引いてるやろ?」
「…」
「おい(笑)」
何はともあれ、確認出来て良かったな
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
66 / 116