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見てるだけしか…
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「う、うぅ…」
おれが次に目を覚ました時周りがやけにうるさかったのを覚えている
そのガヤガヤした音に混じってちんちくりんがべそべそ泣く声がする
………そうだ…!!ちんちくりん!!
目の前に座らせられてたちんちくりんがいない!!
そう思って痛む体を動かして首を巡らせるととんでもない光景が目に飛び込んできた
「おらぁぁ!!」
「ケッ、全然反撃してこねえ!!」
「ビビってんじゃねーのか!!」
そんな野次を飛ばして何人もが一か所にたかって何かしていた
頭をあげるとおれの隣には椅子に縛られて結局全裸にされてしまったちんちくりんが涙をボロボロ流して顔を鼻水や涙でぐちゃぐちゃにしながら「たける…!!たける!!」って悲痛そうに叫んでた
体を必死にねじって手首に縄が食い込んで血が出るほど縄を解こうとしている
……猛…さん……?
まだはっきりとしない頭でぼんやりと須王と須王の連れがたかってるところを眺めた
「ハッ、しょっぼ!!こんなもんかよ」
「見ろよ全然動かねえ!!」
そんな声を聞きながらそこを眺めてたらチラッと見覚えのある金髪が見えた
体がの温度がどんどん下がって、頭は冴えて、目が大きく見開いてく
そこの中心にいるのは猛さんだった
「…たけるさんっ………!!」
思わず叫ぶ
起きあがろうとしたけど体中痛んでダメだった
かたかたと体が震える
そんな…うそだ……あの猛さんが……
呆然とその様子を眺める
猛さんを何人もで囲んでよってたかって蹴っている地面に転がった猛さんの体を蹴り、手を踏みつぶして、頭を蹴飛ばしてた
もう動かない猛さんを無理やり起こしてはそれをまた蹴り倒して喜んでる
なんで…なんで猛さんが……
猛さんならあのくらいの人数なんてことないはずだ…なのに……
「……ぐっ…うぅ…」
けほっと猛さんがせき込んで唸る声が聞こえた
「猛さん!!」
もう一度叫ぶ
目が合って猛さんがやんわりと笑った気がした
でもすぐそれも人の間に消えて見えなくなる
「わかばちゃん…」
「………」
目元を真っ赤に腫らしたちんちくりんと目が合う
ひどい顔だった
「怪我……大丈夫……?」
「…………痛い……」
「………そう…」
こいつはこんな時におれなんかの心配をするのか……
おれもこんな時にそんな事を思ってた
ちんちくりんがボロボロとまた涙を流しながら話を続ける
「たける…おれのために来て…くれて…ズッ、ナイフ向けられて…猛抵抗できなくて、それで……」
「………」
ちんちくりんの大きな目からぶわっと涙があふれ出し、声が震えてどんどん小さく消え入りそうになっていった
そんな…
急に自分がしたことが怖くなった
助けないと…おれのせいで…そんな…
猛さんはまだ蹴られ続けている
そうは思っても体はカタカタと震えて動かない
猛さん…!!!
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