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608
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志波から送られてきたメールの地図を頼りに走った
もうホテルは目の前でフロントで部屋の場所聞いてそれからも止らずに走りつづけた
すれ違う人は皆こんな静かなホテルの廊下を全速力で走るオレにぎょっとしとったけど気にせんかった
まな…
もうまながどうなってたとしてもまながなんて言ってももう離れたりしないって誓った
でもやっぱりまなには嫌な思いをして欲しくない
前まながレイプされた時の事を思いだす
レイプのあともたびたびうなされたり一人になるのを怖がったりしてかわいそうで仕方なかった…
グッと唇を噛む
もうあんなまな見たくない…見てられない…
そしてとうとう608と書かれた部屋の前にたどり着いた
部屋のドアを叩く
「兄貴ッ!!まないるんやろ!!」
静かな廊下にオレの声が響いた
「まなっ!!まな!!」
気が急いてドンドンと大きな音を立ててドアを叩いた
このドアの先でまながされてることを思うと胸が痛んだ
早く…少しでも早く…
でも中から返事はない
チッと舌うちして仕方なくドアを蹴破ろうと後ろに下がって助走を付けてドアに向けて蹴りを放った
「…え……」
「ふぎっ…!!」
なのに足の裏に来るべきドアの感触が無くなってそのままバランスを崩してそのままそっち側に倒れ込んでしまった
「……ってて…」
「お…もい…」
「え…まな…!?」
「………おもい…」
オレの下にはちょっと照れたような不機嫌なようなまながいた
一瞬頭がついて行かなかった
「まな!!」
「………」
「まな、なんかされとらん?痛いとこない?」
目の前のまなに大きな外傷がないことを確認してギュッと抱き締めた
まなのふわふわした髪が顔をくすぐってまなの匂いがする
ケンカ…っていうか気まずくなった後でしかも兄貴に攫われてオレが助けに来て久々の再開やのにまなはオレに抱かれても拒絶こそしなかったがじっとしてた
「まな…?」
「………」
「!?」
不安になってまなの顔を覗き込んでみるとまなは目に溜めた大粒の涙をぽろぽろこぼして泣きだした
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