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責められるべき存在
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くそっ…
自分で自分に嫌気がさした
早足で駅までの道を歩きながら無意識に歯を食いしばっていた
イライラは収まらないのに罪悪感が湧きあがってどうしたらいいのかわからない感情が自分の中にたまって行く
オレに威圧されて震え怯えて縮み上がっていたまなを思い出す
委縮して声を震わせながらそれでも一生懸命話していた
『……ご、めん…』
『…なにが?』
まなに謝らせてしまった…
別にまなは何も悪くなかったのに…
何となく誰があの噂を流したかはわかっていた
噂が広まってしまったのは意図してなかったのかもしれないけれど多分同じクラスの藻府ってやつや…
夏祭りの時にまながちづちゃんにカミングアウトしたところを見られとる
でも確かに原因はそいつかもしらんけど結局はオレが噂の真偽を聞かれた時に嘘にきまっとるやんって笑い飛ばしてしまえば良かった話しやった
それをオレは何となくまなを試したいような気持ちになってしまって結果としてそれが自分もまなも傷つけることになってしまった……
というか自分がこんなに傷ついていた事にも驚きやった
『あ…あさ、の…さっきの……別に本心じゃ…』
『……はぁ…』
『ッ』
まなは目に涙を溜めてオレに謝った
オレとの関係を否定した自分を自分で責めとるみたいやった
オレが責められるべきやのに…
それが余計オレをいらだたせた…
いっそまながオレを責めてくれれば良かったのかもしれない
『なぁまな…まなにとってオレそんな恥ずかしい存在?』
『ち、ちが…』
『でもみんなの前でああ言うとったやん、ありえないんやろ、男同士とか…』
『…そ、それは…』
イライラにまかせてまなにあたるように思ってもない言葉を口にする
冷静になれなくて、結果的に自分が招いたイライラをただまなにぶつけて…
最悪やった…
そのときのまなは顔をクシャっとゆがめ目に涙を溜めて耐えていた
手や唇がカタカタ震えてオレを怖がっていた
ちがう…こんなこと言いたいんやない…まなにこんな顔させたいんやない…
そこでやっとハッとした
怯えるまなを見て自分の感情に任せて何も悪くないまなを責めたことを悔いた
いったん大きく深呼吸をする
しばらくイライラが収まる気配はなかったがそれでも少しだけ落ち着きを取り戻して冷静になることができた
今日はもうまなと話すべきやない…
口を開いたらまたまなにひどいことを言ってしまいそうな気がした
ぎゅっと拳を握って落ち着いた口調を心がける
『………ごめん、オレ今日もう帰るわ…冷静に話しできひん…』
『………』
そう言ったときのまなはクシャっと顔をゆがめて悲しそうやった
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