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それが黒川飛鳥さんとの初めての出会い。絶望の淵から救い出してくれた僕の最愛の人ーー。
彼のためになるなら何をしても、されても構わなかった。笑顔を見て、褒めてくれて……愛情をくれるならそれだけで幸せだったはずなのに。
いつからだっただろう。飛鳥さんが僕に会いに来る回数が減ったのは。最初は忙しいのだろうと思って我慢をしていたけど、ふとした瞬間、好きな人がいるんじゃないかと疑った。
その疑惑は飛鳥さんと話すたびに確信へと変わっていく。飛鳥さんは決して僕に口付けをしてくれない。深い意味はないのかもしれないけど、疑い深い僕は愛されていないと感じてしまう。
日に日に醜くなる僕に嫌気がさす。見た目じゃない。心がーー。
そんな時、僕に救いの手が差し伸べられた。このまま醜くなるならいっそのこと、一瞬でもいいから彼のモノとして扱われたい。その思いで手を伸ばす。
もう後戻りは出来ないんだ。
僕はベッドに未だ眠る飛鳥さんの手を包み込む。大きくて骨張った指に頬を擦り当てて温もりを感じた。
今、この瞬間だけは僕だけの飛鳥さんだ。そう思うと心が飛び跳ねた。
早く目を開けて。僕を写して。僕を、僕だけをーー。
「……僕だけを見てよ、飛鳥さん」
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