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弘樹の圧倒的なプレッシャーに、カタカタとハンドガンをもつ手が震えた。この銃は弾が入っていない。何故ならモデルガンだから。何の知識もない弘樹がその事に気付くはずがないと思った俺は、硬く銃を握りしめ、弘樹を睨んだ。
彼は口を歪めながら、明るい茶髪を片手でかきあげる。
「洸のその目が俺は好き。プライドが高く、強い意思をもった反抗的な目。そういう奴をみると、ねじ伏せて俺のモノにしたくなっちゃうんだよね」
ぎゅっと拳を握り、それにキスを落としながら弘樹は言った。その仕草に俺は全身の毛が逆立つ。
「なに、気色悪いこと言ってんだよ……!今日のお前、何処かおかしいぞ」
「おかしい?あー、そっか。うん、そうだね。洸は知らないか」
不気味な笑みを浮かべながら、ゆっくりと距離を詰めてくる弘樹に、俺は壁際までじりじりと下がる。
「これが本来の俺。あれは、大学での作った俺」
「ふざけんな!そんな事言われたって信じられるか!」
俺はモデルガンを弘樹の身体にしっかりと焦点を当てた。しかし、弘樹は怯えることなく手を伸ばしてくる。
「そっか。ま、玩具で脅されても全く怖くないんだけどね」
「ーーーえ?」
モデルガンは、弘樹の膝によって蹴られ空中に高く飛ぶ。手から無くなったと気付いた時には、俺は別の誰かによって床に押され、腕を組み抑えられた。
あまりにも一瞬の出来事だった。
「くそがっ!離せよ!」
頭も見えない相手によって地面に押さえつけられ、背中に相手の膝が乗っている。周到すぎる早さに、頭に血が上るのを抑えきれなかった。
懸命に身体を捩り、弘樹を睨みつけようとした時、急に顎を強く持たれ、喉が上がる状態になった。これだと話すのが辛い。
弘樹は暗い瞳で俺と視線を交えた。
「ねぇ、どうして今朝、痴漢にあったことを俺に言わなかったの?……やっぱり、恥ずかしかった?」
「ーーーっ!」
何で知っているんだ……!という声は言葉にならず、喉の奥で低く唸った。俺は恥ずかしさから、目を逸らす。
「耳まで真っ赤だよ。可愛い」
「ざけんな!っく!」
再び頭を押さえつけられ、拘束された腕の力が強くなった。このままだと、赤く跡が残ってしまう。
「暴れると、もっと痛くなるよ?あんまり傷つけたくないから静かにして」
そう言うと、弘樹は俺の顎を掴み口にナニカを放り込んだ。
「んっ?!うんん?!」
突然のことに吐き出しそうになるが、見えない相手によって口と鼻を抑えられ、仕方なく飲み込む。
「っはぁ、はぁ、この変態!何飲ませ……?」
飲み込んだ瞬間、微かにボヤける視界。頭が機能を停止したように、何も考えられなくなった。
段々と意識を無くす俺の耳に、弘樹の声だけが残った。
「洸、逃がさないから」
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