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「お、お頭ぁ!タイヤを撃たれて車が動きません!ど、ど、どうすりゃ……」
「落ち着けぇ!応援呼んで、もう一台早急に車を用意しろ。……俺はこいつと外に出る」
首根っこを掴まれ十左近にもたれかかるように、のろのろと車から降りる。
冷たい視線の黒川に、どう反応していいのか分からず下を向いた。来てくれて嬉しかったのに、素直に喜べない自分がいる。
黒川には、奏という可愛い恋人がいるだろ。早く俺を見捨てて、手放して欲しい。
「……洸を離せ」
拳銃を片手にゆらりと立つ黒川は、ゾッとするほど怖い。十左近もその雰囲気に当てられたのか、ぎゅっと腕に力を入れ、俺を羽交い締めにすると頭に銃口を当てた。
頭に当たる無機質な物体に恐怖から足がすくむ。ガクガクと震えながら、十左近の顔を見上げた。
「や、やめろよ……。お前、こんな事して何が狙いなんだよ……」
「狙い……?んなもん、俺様の手で黒川に身体にでっかな風穴を開けたいだけだ。……俺様にやったようになぁ!?」
声を荒げ、柄物のシャツを片手で引きちぎるかのように引っ張った。ボタンが弾け飛んで、床に転がる。開いた脇腹には、生々しい傷跡が未だ癒えずに残されていた。
「忘れてねぇよな?!黒川よぉ?!ちょっとお気に入りに触ったくらいで、これぐらいのことを平気でしてくるお前の事だ。こんなに触れられて、さぞ悔しい思いをしてるだろぉ?」
ぬるりと汗ばんだ掌が俺の脇腹を撫でる。あまりに急なことに、息が漏れた。
「それ以上洸に触れたら、撃つぞ」
「撃ってみろ!俺様が先にこいつの頭を撃ってやる!」
グッと押し付けられる拳銃に、頭がくらくらした。トリガーを引かれて頭を撃ち抜かれる光景が頭に何度も浮かぶ。
「……や、やめ……」
死にたくない、死にたくない……!流れ出た涙が頬に伝う。黒川は俺を見て、苦しそうな表情を浮かべていた。
「あ、飛鳥さぁーん!」
可愛らしい声が地下に響いた。さっきまで話していた彼がどうしてここに。
「……奏。なぜ此処にいるんだ?」
走って来てぎゅっと黒川に抱き着くと、頭をぐりぐり押し付けてから、笑顔を向けた。殺伐とした空気の中で放つ奏のオーラは、どこか異質だ。
「えへへ。飛鳥さんに会いたくてここまで来ちゃった」
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