アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
小学6年生。3 side.樹
-
「世那」
「樹くんっ!」
振り返えった笑顔が凄く可愛い。
トイレから帰る途中、借り物競争への出場アナウンスが流れているのを耳にして、そのまま席には戻らず入場口に向かった。
学年ごとに座っている中で、すぐに一番小さな後ろ姿を見つけると、思わず口が緩んでしまった。
「頑張れよ、応援してるから」
「うんっ、ありがとう。でもちょっとドキドキするね」
ふふっ、と両手で口元を隠しながら笑みを浮かべる姿に、つい魅入ってしまう……
こういう仕草が、いちいち可愛いんだよなぁ……
この間、初めて世那とキスした時に、ようやく自分の抱えていた気持ちがハッキリと分かった。
俺は世那が好き。
それに気づいたら、もう毎日が世那でいっぱいだった。
世那と、こんなことを一緒にしたいとか、手を繋いで、もっと触れあうほど近くにいたい……とか。
できれば、あの時みたいに、抱き合って……キスも、もう1回したい……って。
そんなことばっかり考えて、自分に良いように、頭の中で世那と俺のことを想像していた。
やばいよなぁ……
俺、いつの間にこんな好きになってたんだろ。
世那は俺のこと、どう思ってんのかな……
ただの友達?
でも、キスしたんだ……どれだけ仲がいい友達でも、してもいいなんて俺は思わない。
……世那はどうなんだろ。
意識はしてくれていたと思う……
……って、あぁー、まただっ…!
こうやって、ぐるぐると色んなことが解決できなくて、頭の中に溜まっていく。
知りたいなら、聞けばいいのに……それが出来ないでいる俺は、俺らしくない。
キスの時の自分のあの言動が、今では信じられないぐらいだ。
積極的に行動はするくせに、言葉にすることは、少しでも怖いと思ってしまう。
確実に、臆病になってる……
こんなんじゃ駄目だよな……
世那を好きになって、今まで知らなかった自分が新に顔を出しては、色んな想いを掻き乱していく。
けれど、目の前で楽しそうに笑う世那を見て、とりあえず今は、しっかり世那のことを応援しようと、小さく息を吐いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
29 / 36