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小学6年生。4
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坂井さんのこと好きなのかな……
あんな可愛い子に大胆に告白されたら、やっぱり嬉しい…よね。
……そしたら、二人は恋人になる…?
10年後には、本当に結婚しちゃうっ…?
「……っ、」
幸せそうに笑い合う二人の姿が目に浮かぶ。……どこを見ても探しても、そこに僕はいない。
ぽろっと、また涙が溢れ落ちた。
あれだけ流した涙は、まだ枯れていないらしい。
このまま体の中の水分が無くなってしまえばいいのに……
干からびて、無くなっちゃえばいい……
そう暗くなっていると……
「あぁー!!もう!!」
「っ!?」
俯く僕の隣から、なんだか苛々した声が降ってきた。
びっくりして顔を上げると、髪をガシガシ掻きながら不機嫌そうな顔をしている敦史くんと目が合う。
「今まで黙ってたけどもう無理!!おいっ、世那!!」
ぺちっ
「…っ!!」
なっ、なに!?
ほっぺを両手で挟まれたせいで、お口がタコさんに……
そんなおろおろしている僕には構わず敦史くんは言った。
「あいつも考えなしなのは悪いけどな、お前もうじうじ、うじうじ…いつまで泣いてんだよ!!そんなんじゃ何も変わんねぇぞ!!」
「…っ」
その力強い言葉にドクンッと、心臓が大きく跳ねる。
敦史くんの目は、じっと僕を捉えて真剣だった。それに対して瞳の中の僕は、ひどく困惑していた。
やがて滑り落ちた手が、僕の手を握る。
敦史くんは、小さく息を吐くと静かに続けた。
「…なぁ、思ってること全部言ってみろよ。お前一人で片付けられるもんじゃないだろ。言葉にしないとどうにもなんねぇことだってあるんだ……」
さっきとうって変わって、優しく言い聞かせるような口調に、ツンっと鼻の奥が痛くなった。
温かい手のひらが、大丈夫だからと言ってくれているようで……
しばらく沈黙が続いたけれど、僕は初めて、今まで誰にも話せなかった自分の気持ちを口にした。
「……っ、ぼく、は…、樹くんの笑った顔も、嬉しそうな顔も、全部……全部、独り占めしたいっ。ずっと一緒にいたくて、もっと触れ合いたくて、いっぱい…いっぱい樹くんに僕のこと見てほしいのっ……」
「…うん」
「でもっ、僕は、臆病者なんだっ…どんどん欲張りになるのに、好きって言葉は言えない…。女の子みたいにおしゃれじゃないし、可愛いくないっ…男の子の僕なんか、ぜったい……だめだもんっ…」
「……」
「…っ、大好きなのに……だめなの…っ。女の子じゃなきゃ、結婚できなくて……お似合いだねって…ぜったい言われないの」
「……」
「女の子がうらやましいっ……」
それは、今日改めて見せつけられた事実。
もし、僕があのお題を引いていたら……そんなもしもの事を考えて……やめた。
きっと、笑われるか嫌な顔をされるに決まっているから……あんな風に受け入れられることもない。
樹くんも、きっと……
そう考えると、やっぱり僕は駄目なんだって思ったんだ。
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