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一人きりの通学路。
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午前六時二十分。アキくんが指定した時刻より早く俺は家を出た。最寄りの駅から電車に乗る。
いつもの通学時間より三十分ちょっと早いだけ。それなのに車内は普段よりも空いていて、席に座ることができた。ぼーっと流れていく風景を見る。
アキくんは……怒るだろうか。怒るだろうなあ。約束を破られるのとか、嫌いだから。あれが約束と言えるものだったかは別として、ね。
でも、今の俺にはそれすらどうでもいいと思えることだった。
学校近くの駅に着いたら降りて、つうがくろを一人でとぼとぼ歩く。すると十分もしないうちに学校が見えてくる。
アキくんを追いかけて入った高校。地元に一校はあるような、スポーツ優秀で有名な私立校だ。アキくんは普通科のスポーツ特待生で、俺は特進科。
追いかけて入ったって、自分でもキモいくらいに一途だなと思う。今はその、自分の一途さが憎らしい。こんなときでも、アキくんと顔を合わせなければいけないなんて。
校門を通って、一年の昇降口へ向かう。予想通り、誰もいない。
……と思ったら、一人、いた。
今時珍しい三つ編みのその女子は、なんか一生懸命に背伸びをして手を上に伸ばしていた。……て、あれ、俺の靴箱のあたりじゃね?
そう思ったとき、足音に気づいた女子が振り返って、ばちっと目が合った。
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