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本当の姿
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「向こうに行っても
飛び級につぐ飛び級で当然、周りは
いつも自分より随分年上の人ばかり。
皆、親切にしてくれたけど
何処に行っても違和感を
感じ無い時はなかったかな」
「一度で良いから、普通の学校で
同じ年の子達と机を並べられたら
……そしたら、どんなに楽しいだろうって
無理言って向こうに休学届けを
出して短期間だけという条件付きで
日本の学校に通うことになった。
経緯が経緯なだけに両親は
俺に負い目を感じていてさ、
凄く気を使ってるのが分かるんだよ。
それが又、余計に心苦しいというか……」
四堂君は軽い溜息を漏らした。
「俺も親とはいっても殆ど一緒に
過ごしたことがないから、どう接して良いのか
正直分からない……変だろ?
理論とか数式とかは解けても、
自分の親のと向き合うことが
難しいとかホント笑えないよな」
「四堂君」
苦笑いをした彼が今までで一番遠く、
それでいて一番身近くにも感じた。
初めて四堂君とまともに話した気がする。
今まで僕は彼の上っ面だけを見ていた。
心の内を見せてくれた彼が本来の
姿なんだって気が付いた。
――いい子だ、凄く。
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