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事ノ始マリ
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病院に着くと、手術室の前に1人の男性が座っていた。
酷くやつれていて心配になった僕は、つい声をかけてしまった。
「大丈夫ですか...?」
男性はほんの少しニコッと笑った後、隣の席をポンポンと叩き、座るように促してきた。
「君は、どうしてここへ?」
弱々しい声で訪ねてきたその声は、ついさっき電話をくれた鈴香の父親と言っていた人にとても似ている。
そしてどことなく目元や口元も似ている気がした。
僕はこの人が鈴香のお父さんなのかもしれないと思い、名前を出して話した。
「鈴香、という僕の大切な人が、交通事故に...。それでここへすぐに駆けつけてきたんです。」
男性は驚いた顔をして、ほんの少しにこりと笑ってくれた。
「そうか、君が桜場くんか。」
私が鈴香の父だと言いながら、優しい笑顔で頭を撫でられた。
やはり鈴香のお父さんだった。
微笑んだ顔がそっくりで、鈴香はお父さんによく似ているんだなと思った。
鈴香のお父さんの話はよく聞いていた。
でも実際会うのは初めてで、こんな時だったからこそ、緊張もそんなにしないで話せたのかもしれない。
「鈴香は、どうなったんですか...?」
「鈴香はね、一命を取り留めたよ。」
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