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事ノ始マリ
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「本当ですか...!」
思わず大きい声を出してしまった。
だって...鈴香が無事だって...!
嬉しくて、涙が零れた。
「でも」
「でも...?」
青い顔で下を向く姿を見て、鈴香の状態が安心できる状態ではないことをすぐ察した。
それでも鈴香のお父さんは、交通事故の詳しい話から順に話をしてくれた。
「警察の話によるとね、鈴香は信号を守っていたそうだ。ただ車の方が...信号無視をして飛び出してきて、それでね。」
「飛び出し...」
「ああ。そして、その車は逃げたそうだ」
何も言えなかった。
ただただ、鈴香をひいた奴への憎しみしか生まれてはこなかった。
「その後、救急搬送され一命を取り留めた。...まだ、昏睡状態だが、ね。」
「昏睡...状...態......」
生きている。
でも目覚めるか分からない。
いつ目覚めるかも分からない……。
複雑な心境のまま、まずは手術室から鈴香が出てくるのを、ひたすらに待つのだった。
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