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綾瑠の不安
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綾「はっ、はっ、…っ…はぁっ…」
綾瑠は無我夢中で走った
自分が何処に向かっているかも分からずに、息と体力が続く限り走って、走って、走り続けた
だが、やがて体力も限界になり立ち止まった
そこでふと、気付いたのだ
目の前には蒼が働いているAngelの看板があったのだ
綾瑠は店の光に釣れられるようにビルでの入口に向かった
1つ目のドアを開け、Angelのドアを開けた
すると其処には1人のボーイがいた
ボーイ「お、お客様、此処は見ての通りキャバクラです
女性の貴女が来たのは分かりませんし、その格好も…
それに求人もしていないのでお引き取りください」
綾「……れ…とこだ…」
ボーイ「はい?」
綾「だから!俺は男だ!」
ボーイ「えぇっ!」
綾「それと、用があるのは蒼だ、鮫島蒼!
俺の親友だ!綾瑠が来たって伝えろ」
ボーイ「し、支配人ですか!?
少々お待ち下さい!」
そう言ってボーイは店内に消えていった
綾「はあぁぁ…」
綾瑠は壁に寄りかかった
綾「…………死にたくねぇな…」
綾瑠は天井にあるシャンデリアを見つめながら呟いた、すると店内から慌ただしい足音が近付いてきた
あ…この足音、蒼だな…
蒼「綾瑠ーーーーーー!」
綾「よう…蒼」
蒼「どうしたのーこんな時間に…てか、その格好…w」
こいつ…仕事の時の声のトーンと普段のトーンが混ざってるな……変なの…
綾「それは各々云々で…
なぁ、今日お前の家泊めてくんない?」
蒼「それはいいけどー…大丈夫ー?」
綾「ああ…いきなりごめんな」
蒼「いいよー、はい鍵ー」
綾「ありがと」
綾瑠は周りの人からの視線が気になり、顔を隠すためにフードを被った
蒼「真っ白ウサギw」
綾「うるせぇ」
蒼「はいはい、じゃあいつも通り鍵開けといてねー
…階は覚えてるよねー?」
綾「ああ」
綾瑠はそう言って後にあるドアをもう1度開け右の奥にあるエレベーターに乗り、14階のボタンを押した
此処は15階建てのビルで1階はAngel、
2階はfairy(ホストクラブ)
従業員は住み込みで働いているらしい
3~6階はAngelの従業員が住んでいて、7~10階はfairyの従業員が住んでいる
11~12階はパーティー会場になっていて、13階はゲストルームがある
そんで、14階は蒼を含めた支配人やAngelのNo.1~2、fairyのNo.1~2が住んでいる
(各No.1、2は他の従業員より待遇がいいらしい)
最上階の15階はオーナーの部屋があるんだとさ
だけど、緊急時以外は立ち入り禁止らしい
連絡を取るには内線の電話を使うとか…
つまり、このビル丸々1つは15階に住んでいるオーナーの物になる
これを蒼から初めて聞いた時は驚いた
しかし、今の綾瑠にはどうでもいいことだった
今さっき起きた事がまだ理解出来ていなかったのだ
2人の兄の正体、不老不死、そして何より、自分が得体の知れない何者かに狙われていて死ぬと言うこと
綾瑠の頭の中がまだパニックの中、14階に到着した
綾瑠はおぼつかない足取りで蒼の部屋のドアの前に立ち、鍵を開けた
綾瑠は部屋に上がろうとしたが裸足であったことに気づいた
流石にこのままあがるのは悪いと思い、四つん這いになってバスルームに向かった
足を洗うついでにさっとシャワーを浴びた綾瑠は、蒼のクローゼットに置きっぱなしにしている自分の服を着てベッドに寝転がった
綾「……はあぁぁ…」
今日何度目か分からない溜息をつき天井を見上げた
綾「…………っ…ふっ……」
綾瑠は誰もいない真っ暗の部屋の中
これから自分がどうなってしまうのか分からない不安に押し潰されそうになり声を殺して泣いた
その涙を流す姿を見たのは、夜空に浮かんだ星と月、そしてその月に重なるように飛んでいる2匹の豹だけだった
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