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第一章:愛しき悪魔のおそ松兄さん1
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sideおそ松
良かれと思ってやったのに。
――失せろ。今日限りでお前とは赤の他人だ。
ちょっと悪戯しただけ。独りでいるのが淋しくて、構ってほしくて。
カラ松も、チョロ松も、一松も、十四松も、トド松も…。
「俺…愛されていないのかなぁ…」
俺は開け放たれた自宅二階の窓から夕焼けを仰いだ。
「一人っ子が良かったなぁ…」
皆いないのは淋しいけれど、皆いなければ、こんな悲しい思いをすることもない。
「それならば、私のところに来ませんか?」
確かに二階の部屋に居たはずなのに、いつの間にか周囲は何もないただ黒い空間に変わり、目の前には痩せ形の道化師風な衣装の男が立っていた。
顔の上半分は白い仮面に隠れ、表情が分からないけれど、口元はわざとらしい弧を描き、怪しげで怖かった。
「誰だ?てめぇ」
俺は恐怖心を悟られないように、極力凄みをきかせたつもりだったが、相手にはあまり効果がない様子。
「申し遅れました。私、魔の世界の者です。貴方、辛いんでしょう?悲しいんでしょう?ならば、私と一緒にぶち壊しませんか?この下らない世界を」
「何を言っているんだ?」
理解出来なかった。
この状態も。
男が言っていることも。
急に恐怖心が勢いを増し、俺は後退った。
「おやおや?怖がらなくていいんですよ?私は貴方の味方です。それとも貴方、まだ弟さん達を信じるんですか?あんな酷いことをされたのに?」
俺は混乱して、思考がぐちゃぐちゃしていたが、必死で頷いた。
「いいでしょう。では私とゲームをしましょう。私が勝てば、貴方をもらう。貴方が勝てば、私は貴方を諦めます」
男はニタリと笑うと、俺の返事を待つこともなく、パチンと指を鳴らした。
途端に下から風が沸き起こり、びっくりして一瞬、片腕で眼を庇ったが、なんとか抉じ開けてみると、俺の足元に、魔方陣が薄ら浮き上がっていた。
さらにびっくりしたのは、その先に弟達が居たこと。
「え…?」
「何!?此処?」
「おそ松兄さん!?何してんの?」
「さあゲームの始まりです。貴方の弟さん達は、貴方を助けられるでしょうか?」
耳元でさっきの仮面の男の声がしたが、姿は見えなかった。
魔方陣はみるみるうちに濃くなってゆく。濃くなって、濃くなって、濃くなって…
「ぎゃああああああ!!!」
不意に身体の芯を射られたような、もの凄い痛みに襲われ、俺はそこで意識を手放してしまった。
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