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第一章:愛しき悪魔のおそ松兄さん4
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sideトド松
「おそ松兄さんは、外に出ない方がいいね」
チョロ松兄さんの提案に、おそ松兄さんは黙って頷いた。
風邪ひいた弟を放ってまでパチンコに行くような兄さんだから、辛いだろうな。
兄さんは、始めの数日こそ、一松兄さんもびっくりな卑屈ぶりを発揮していたけれども、日に日にいつもの馬鹿な兄さんに戻っていった、ように見えた。
居間で寝転び漫画を読みながらケタケタ笑っていたし、僕と一緒にトランプもしてくれた。
うつ伏せで昼寝しているカラ松兄さんの尻を、尻尾で突いているのを見た時には、「いいね!」と思ったし、六つに分けた今川焼の一番大きいのを持っていった時には、「悪魔めっ!」と皆から突っ込まれて、「だって俺、悪魔だもん☆」とニヤニヤしていた。
でも僕は知ってるんだ。
おそ松兄さんは、僕達を安心させるために、頑張っているってことを。
ある晩のことだった。
僕は誰かの泣き声で目を覚ましてしまった。
泣き声は隣で寝ているおそ松兄さんだった。
兄さんは深く布団に潜り、泣き声が漏れないように気を使っているようだったけれど、直ぐ隣の僕には聞こえちゃうよ。
チョロ松兄さんは…居ない。
少しだけ扉が開いているところを見ると、どうやらトイレに行ったらしい。
僕はなんとなく、おそ松兄さんに声を掛けてはいけない気がして、掛け布団から覗くおそ松兄さんの角を、ただ眺めていた。
暫らくすると、チョロ松兄さんが戻ってきた。
「おそ松兄さん?泣いてるの?」
「チョロ松…行かないで」
「トイレ行ってただけだよ。ああ…そんなに泣いて…。大丈夫?水飲みに行く?」
「…うん」
おそ松兄さんとチョロ松兄さんはそっと寝室を出て行った。
あの二人は子供の頃から特に仲が良い。
おそ松兄さんにとって、チョロ松兄さんは特別で、チョロ松兄さんにとって、おそ松兄さんは特別なんだろうな。
それが何かはよく分からないけれど。
だから、おそ松兄さんがチョロ松兄さんにだけ見せる弱さが、本当の素なんだろうな。
なんて考えていると、僕の右隣がガバッと動いた。
「ひいっ!」
カラ松兄さんが起き上がっていた。
暗くて表情はよく分からないけれど、今閉ざされたばかりのドアを見つめているようだった。
「カラ松兄さん?」
呼び掛けてみたけれども、兄さんはピクリとも動かない。
カラ松兄さんが…何だか怖かった。
でもまた暫らくすると、カラ松兄さんは再び布団に潜り込んだ。
すると間髪入れずにドアが開いて、おそ松兄さんと、チョロ松兄さんが戻ってきたんだ。
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