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第三章:目覚めし悪魔のおそ松兄さん1
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sideおそ松
目が覚めると、目の前には、いつかの仮面の道化師が立っていた。
「お目覚めですか。おそ松兄さん」
あの時と同じように、口元がわざとらしい弧を作っている。
「は?何?何でまた?」
慌て怯える俺に、道化師は形の良い顔を近付けてきた。
顔の上半分は白い仮面で隠れているが、何となく、整った顔立ちを連想させられる。
「私、『貴方』のことは諦めましたけどね、『本当の貴方』の方は諦めてないんですよね~☆」
「何だよ…それ…」
俺の困惑を余所に、くふっ、と道化師は一瞬笑った。
「貴方には記憶も自覚もないでしょうけど、こちらの世界では有名なんですよ、貴方。『最強故に消された悪魔』ってね」
「はぁ…?」
「貴方の前世は魔国の悪魔。とっても邪気が強力で、悪魔として最強だったんです。ただ、出る杭は打たれるものですからね。貴方を恐れた時の権力者が、幼かった貴方の邪気を封じて、貴方を地上に捨てたんです。まぁ、貴方は生き延びましたけど」
「ちょっと待てよ!何だよそれ!俺は知らない!前世とか無いから!」
「『貴方』は知らなくても、『本当の貴方』はちゃんと知っていますよ。ほら、呼べはちゃんと応えてくれるでしょ」
そう言うと、道化師は、俺の胸の中心に、人差し指を押し当てた。
その瞬間、目眩に襲われ、気付いた時には、道化師に受け止められていた。
「ね~☆今、『本当の貴方』が返事をしてくれたでしょ!『早くここから出せ』ですって。それでは出して差し上げましょうかね☆」
「ちょっと待てってば!何なんだよ!分からねーよ!」
「いいんですよ。深く考えなくて。何せ私は、『貴方』ではなく、『本当の貴方』に用があるんですから」
そう言うと、道化師は再び、俺の胸に手を押し当てた。
「そうだ☆貴方の弟さん、邪魔だから消してまいません?」
――いやだ。
思っても、もう声も出せず、腕も上がらず、ただ鈍い眠気のようなものに纏われ、どこかに沈んで行くような気がした…。
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