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佐藤 竜太 8
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頬を伝う感触に自分が泣いてるんだと自覚した。
こんな醜態は初めてだ。こんなはずじゃなかった。
自分でも自覚していなかった、この関係の不明確さ、いつもと違う朝比奈の態度に対する不安が一気に爆発して感情をぶつけてしまった。死んでしまいたいほどの羞恥が後から後から押し寄せてきて、どうせならこのまま逃げてしまおうなんてとこまで考える。
捨てると明確に言われるくらいなら会うことはなくともきっぱりと終わりを告げられない方がましだ。
そこまで考えて、自分が今のこの関係をさほど嫌だと思っているわけではないのだと気付いた。
「…………クスッ…」
小さく笑う朝比奈の声は、いつもの、俺を見下す時のような…
俺より小さいくせに俺はこいつのこの高圧的な空気にいつも呑まれる…
そっと見上げれば、やっぱりゲームしてる時とは違う、何かよからぬことを企んでる目だった。
「やはりゲームは僕の勝ちですね」
にっこりと笑う朝比奈の言葉にちらりとテレビ画面に視線を移せば、確かに朝比奈が勝ったと表示してあった。それもそうだ。佐藤は途中でゲームを放り出していたのだから。
そんな佐藤の胸中を察知した朝比奈はさらににっこりと笑って濡れる佐藤の頬に手を伸ばした。
「違いますよ。テレビゲームの事じゃありません
言ったでしょう?僕はあなたとゲームがしたかったんです」
涙をぬぐい、両手で佐藤の顔を包んだ。
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