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裸のままボウ然、内心青ざめているが
あまり表情にはでない。
多喜良「まぁ、つもる話もおありでしょうが、大汗かいて咽喉乾きませんか?今お茶たてますんで服着てあがって下さい」
気まずさを微塵も見せない多喜良。
多喜良「今日は、大わらわだったんだろ、特上のお抹茶をいれますどすえ~」
仁「やったー!お茶菓子は何?」
いい加減な京都弁にはつっこまず喜ぶ仁。
律郎(オイ、ちょっと待て、こいつ最初からいたのか?)
仁「律郎も早く着て。ヨッシーのお茶はおいしーんだよ。おばーちゃんがお茶の先生やってて小さい頃から教えてもらってたんだって」
多喜良「いやー、でもばーちゃんから言わせたらオレは出来の悪い生徒で実のところ頭かかえてたんだけどな」
カラカラ笑う多喜良。
仁「そんな事ないって、ヨッシーのお茶におれどんだけ癒されたか…」
多喜良「そうか?いやーうれしいなぁ」
笑いながら部屋の奥へと消えてゆく2人。
律郎「ーーー・・・ 」
ガクッと頽(くずお)れる律郎。
リビング。
律郎と仁が向かいあい、間に多喜良。
多喜良「はい、どーぞ。特上お抹茶どすぇ~」
多喜良は大柄、ちょっと小汚い服装。
ゲージュツ家的なやや長めの髪を後ろで
ざっくりとまとめている。
わびさびのきいたお抹茶用の茶碗に
たっぷりなみなみとたてられたお抹茶と
分厚く切られた羊羹。
多喜良「お疲れかと思ってたっぷり特盛にしました~でありんす~♪」
律郎(ありんすは吉原だろう)
仁「わーい」
律郎「・・・ 」
仁「それじゃ、いただきまーす」
多喜良「いただきまーす」
多喜良は片手に茶碗、片手に
切り分けた後の残りの羊羹を持って
丸かじり、もしゃもしゃ食べる。
多喜良「いやー、やっぱヨーカン最っ高ーーー?」
仁「あー、やっぱヨッシーのお茶はいやされるなー」
律郎「・・・ 」
多喜良「小さい頃ヨーカン丸かじりするのが夢だったんだよなー」
仁「あー、何かわかるぅ、おれさー小さい頃うまい棒たらふく食うのが夢だったなー」
律郎そっちのけで盛り上がる2人。
仁「律郎、のど乾いてない?あんなに激しいエッ…」
律郎「あーー!!! …言うなっ、人がいるなんて聞いてないぞ」
仁「そりゃ、言う前に律郎が野獣になったから。今までは紳士だったのに」
多喜良「ジェントルマンだったんだ」
仁「そりゃもう、おれお姫サマ扱いだったんだぜ。あ、この場合王子様か?」
律郎「だから言うなって」
仁「てれるなよ、…野獣も新鮮でよかったぜ。それになんか愛されてるー!!て感じた」
多喜良「ほほー…そりゃよかったな」
律郎「だっ、だいたいアンタ何者なんだ?仁とどういう関係だ」
多喜良「ああ、そーでした。自己紹介もまだでしたね。オレ佐々多喜良と申します。紆余曲折のうえ、今は彫刻家やってます」
仁「ヨッシーは、お抹茶が好きだったんだけど、お作法が苦手でさ、そこからお抹茶茶碗を作るよう
になったんだ。これも全部ヨッシーの作なんだぜ」
律郎「…それで、紆余曲折のうえ、今は彫刻家?」
多喜良「ええ。気が向いたんで」
律郎「・・・ 」
ざっくりアバウトな多喜良に眩暈を覚える律郎。
仁「この部屋の住人はヨッシーでおれ、間借りさせてもらってるんだ」
律郎「なに!?」
多喜良「家賃は入れてもらってるんで、今はやりのルームシェアですよ」
律郎「じゃあ2人の仲はルームメイト、なんだな」
多喜良「まぁ表面上は」
律郎「何だその意味ありげな言い方は!?」
多喜良「ホントのところ、オレは愛の下僕。天使仁(アンジェラジィーン)のためならたとえ火の中水の中!!」
あきらかに芝居じみていて、妙な
ポーズをとり自己に酔いしれている。
律郎「…本当なのか?」
仁「まぁ、だいたい」
律郎「だいたい!?」
仁「ヨッシーの作るメシはすんげーーうまいんだ。あ、夕飯これからなんだけど、一緒に食おーぜ」
多喜良「おーっ、そりゃあいい、おやじさんが生きてて、離婚までの紆余曲折な人生話も、ぜひ語ってほしいですなー」
律郎「お前に話すスジあいはない!」
仁「おれも聞きたいー、あとでしてくれるって言ってたよな」
律郎「ぐ…」
仁「なっ、メシ食ってけよ」
キュピーン、と天使(アンジェラ)フェイスで
見つめる仁。
律郎(こいつの…この顔に俺はいつも負けてたんだ…)
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