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スマホを一方的に切ると再びシーツに着替える。
下着やワイシャツは新しい物、スーツも
ちょっといい物をチョイスし着る。
車に乗り移動。
途中コンビニが目に留まり店内に入る。
〝ボリュームタマゴサンド〟
具がたっぷりのサンドイッチと牛乳、
スイーツを買う。
合計を済ませ再び移動。
10分前には工房駐車場に着く。
コンビニ袋を持って工房村に入ると
まだポツポツ工房内の明かりがともっており
作業してる人々が見える。
多喜良と仁の姿も見えた。
いままでの雰囲気とは違う多喜良。
仁が作ったらしい硝子細工と木彫りの像を
組み合わせている。
別人に見える多喜良を見る。
仁を見つめる目は
限りなく優しく、愛にあふれている。
頭をぽふぽふされ微笑む仁。
割込みにくい空気にドアを大袈裟に開け
あえて入っていく。
律郎「邪魔するぞっ」
仁「律郎!」
多喜良「フジり~ん、いらっしゃ~い」
律郎「差入買ってきた。工房に行こう」
ズイッとコンビニ袋を突出す。
仁「わーい、ありがと律郎」
袋の中をガサゴソ探す。
仁「ヨッシーの分は?」
律郎「ない(キッパリ)」
仁「なんでだよーヨッシーも腹減ってるんだぞ」
多喜良「フッ、かまわねぇサ、ジィーン、なんせおいらはひろわれっこ。そうあの時橋の下の袂に捨てられ
ていたのがこのおいら、なのさ。継母のおっかさんがつらくあたるのはあたりめぇな話よ」
くうっ …と子芝居。
律郎「…お前はヨーカンでも食ってろ。行くぞ」
仁の腕をつかみ出て行こうとする。
多喜良「オレ、まだやってるから、先アパート帰っていいぞ~」
カラカラ笑い飛ばす多喜良。
コンビニ袋片手に引っぱられてゆく仁。
工房の鍵を開け中に入る仁、律郎。
電気をつけようとする仁の手を止め
抱きしめる。
仁「り…」
律郎「おまえは、…俺とあいつ、どっちが好きなんだ?」
仁「律郎」
耳元で囁き、唇にキスしようとするが
動きの止まる律郎。
仁をそっと離し明かりをつける。
せつない表情が浮かんでいる。
律郎「すまない…。あいつからすればお前をすてた過去のニンゲンが今更どのツラさげてきやがったと
思っているだろうな。お前が10年前と変わらない姿で現れて、オレは錯覚していた…」
仁「律郎…」
律郎「10年、…たってるんだよな」
仁「…うん。そんな事、ふっとんでた」
律郎「つきあってるのか?」
仁「ーー・・・ 」
考える表情の仁。
何か言いたげに口元が動くが、
うまく言葉がまちまらないらしい。
まだ手に持っているコンビニ袋を
律郎が取り
テーブルに中味を広げる。
律郎「腹、減ってるだろ。今でもストローなしか?」
仁「うん」
牛乳パックの飲み口を開けてやる律郎。
律郎「食わないと頭まわらないぞ」
素直に座る仁。
牛乳パックを受取りそのまま飲(ラッパ)む。
仁「おれの好きなもの、覚えてくれてたんだな」
律郎「お前の好みが変わってないだけだろ」
さらに牛乳をひとくち飲む仁。
仁「…10年前はさ、事情が事情だっただけに、仕方ない、ってしばらく自分に言いきかせてたんだ。
…でもなんか、やっぱ無理してたみたいで、おれ、一時期荒れてたんだ」
じっと耳をかたむける律郎。
仁「ここに来たのも、ホントいいかげんでさ、目ぇつぶって地図広げて、上からエンピツ落として落ちたとこ、ってやったらここだったんだ」
思わず苦笑い律郎。
律郎「…あいかわらずだな」
仁「ホントに、どうでもよかったんだよ。別れた一年後には半分放浪生活してて、ここ来てヨッシーに
会ってようやく落ち着いたんだ…」
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