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控室に入る三人。
多喜良「うあー、おエライさんの相手して疲れたび~。ヨーカン食いて~」
仁「スタッフの人が用意してくれたようかんがあるじゃないか。しかもヨッシーのようかん好きは有名だから、差入もあんなに…」
テーブルの上には羊羹タワー。
多喜良「いやいやいや、スタッフが用意してくれたのは老舗高級ヨーカン。これは後でお抹茶といただかねばもったいない。差入もファンレターと一緒にかみしめて食べねば…。と、いうことですまんがジィーン、ヨッシー、スーパーのチープなヨーカンが食べたぁ~い。買ってきてほしいでごんすぅ~♪ 」
途中からお得意の小芝居で仁に絡みつく。
仁「なんでおれ!?」
多喜良が突然仁にキスをする。
仁「…んっ…んん」
ディープなキス。
仁「…っ、ぷは… 」
多喜良「これがオレの野獣キス。おためし、どーだった?」
律郎そっちのけの二人の世界。
耳まで赤くなる仁を
覗き込むように見つめる多喜良。
仁「…うう…う…うがーーー 」
多喜良に顔面グーパンチ炸裂。
ふっとぶ。
仁「ヨーカンっ、買ってきてやるよ!!」
バターーン!!
と思いっきりドアを閉め、出ていく。
律郎「・・・ 」
多喜良「あいたたた~、ジィーンの愛を受けとめるには頑丈でなければなりませんなー」
大袈裟に痛がる多喜良。
律郎「仁がいないんだ、そろそろ小芝居をやめにして、真面目に話しあわないか」
多喜良「オレ、真面目な話は100年に一度しかしないんですけど」
多喜良のチャラけた空気が少し変わる。
律郎「作品の少年像は全て仁がモデルになっているな。俺にはわかる」
多喜良「へぇ、…どの辺がです?」
律郎「卵から出ようとしている喜の表情は仁の唇、怒は鼻、哀は目、楽は耳、それぞれのパーツに仁の面影がある」
多喜良「…へぇー、さすがですね。マニアな娘(コ)でもそこまでは気付かないのに」
チャラけた空気は消え、
冷たく敵対心あらわの多喜良が現われる。
律郎「そこまで想っていてなぜ恋人同士にならない?バラの花999本も108本もお前の本当の気持ちだろ」
多喜良「へぇ、意味がぜんぶ分かるなんて、ロマンチストですね」
律郎「お前程じゃない。俺は999本贈る方法を思いつかなかった」
多喜良「オレ、ハッキリ言ってあんた嫌いです」
律郎「だろうな」
多喜良「今日の個展はあいつのために用意してたのに、直前になってあんたがフラッとあらわれて…すべてブチ壊した」
律郎「・・・ 」
多喜良「あいつはっ、ここ1、2年になってようやくあんたの事忘れる時間をもつようになったのに、…何が神のおみちびきだ、笑わせんな」
律郎「…すまなかった。お前の存在を知ってたら、身を引いた」
多喜良「ハッ、本当ですか?別れた後も、未練がましく探してたって言ったあんたが」
律郎「仁が…幸せなら、それで…いい」
多喜良「今さら言われても遅いんですよ。5年前、いや、10年前に逆戻りだ」
律郎「それは違う。仁は、お前と出逢ってかわった。お前の支えがあったからガラス職人をやっているんだ。俺はあいつの気持ちを尊重したい」
多喜良「それなら…ひとつカケをしませんか?」
律郎「賭け?」
多喜良「これからどちらと暮らすか、です。オレかあんたか…もし一人で暮らすと言ったら、それは引き分
けってことで」
律郎「…いいだろう」
多喜良「それにしても…」
多喜良が律郎に近付き、
ズボンの中に手を入れてくる。
律郎「なっ…やめ… 」
多喜良「再会していきなり脱がすなんて、あんたどんだけガツガツしてるんですか?」
律郎「はな、れ…ろっ…」
多喜良「あいつに、あんないいなき声出させて…」
律郎「あ…ぅ」
仁「いっやー、おサイフ忘れてサザエさん、あぶねーあぶねー店入る前に気付いてよかったよーー」
突然ドアが開き、仁が戻ってくる。
律郎「 あ 」
仁「 あ… 」
多喜良「 あ 」
一瞬かたまる三人。
律郎「・・・ 」
仁「・・・ 」
多喜良「・・・ 」
仁が静かに、マイケルジャクソンムーンウォークを
思わせる動きでそのまま後ろにあとずさっていく。
ドアまでくると、音も出さず
『何も見なかった』
という顔で閉めようとする。
律郎「わーまてっ、閉めるな!出て行くな!! 誤解だっ、誤解なんだあっ」
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