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俺は家を飛び出し、慌てて色んな物を買い込んだ。
そのおかげか、帰っても雪也はまだ寝ていた。
雪也が熱出したのって、やはり俺のせいなんだろうか…理由はそうとしか思えない。
やはりこのまま2人で暮らすのは無理なのかな…
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「ん……う……あれ?今何時?」
「午後4時。だいぶ寝てたな」
「そんなに…」
「どうだ?まだ結構苦しいか?」
「歩けるくらいにはなったと…思う。」
「そっか、今日何も食ってないだろ?腹減ってないか?」
「そういえば…空いたかも」
「実は今日は俺が昼メシ用意したつもりだったんだけど、晩メシになっちゃったな…」
「そうなんだ…」
「いま、あっため直すから待ってな」
「うん……」
「何でそんな嬉しそうなんだよ」
「んー、なんかいつも樹が俺の料理待つ時もこんな気持ちなのかなーって思って…」
俺は思わず鍋の蓋を落とした……
「今……俺の名前……初めて呼んで……?!」
自分でも驚きだったのか、雪也も目を見開く。
「あ……偶然だよ偶然!全然気づかなかっただけだから!」
「照れんなよ。これからも俺のことちゃんと名前で呼んでくれよ。な?」
「うっさいなぁ……じゃあ、早く樹の料理出せよ!」
「わがままなお客様だな全く。ほらよ!」
俺は人生でも三本の指には入るであろう自分の力作を、見せつけるようにテーブルに置く。
「これ、樹が作ったの?」
「まぁな!雪也お前、俺の料理スキルなめてただろ」
「まぁね。じゃ、いただきます…」
雪也は一口頬張る。
「………これ、味見した?」
「えっ?!うそ?!不味かった?!」
「ほら、あーん」
俺は雪也に差し出されたスプーンから一口もらう。
「………ん?いや、美味しいじゃん!」
雪也の顔が一瞬で満面の笑みへと変わる。
「あはははー、ひっかかったー」
子供にあっさりと騙され情けない…
だが、それよりも、俺は雪也が元気を取り戻してくれた嬉しさの方が勝っていた。
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