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始まったテスト期間
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テストが始まる。
キミがいないから本当に覚えることが多くて嫌になった。
答えも埋められないわけじゃないけどいつもみたいに確実性はないし、赤点とったら居残りなんだよな、なんて思うと気が重い。
赤点なんてものがあるって知ったのもつい最近、なんだけど。
「もー、めんどくさい。白紙で出そうかな。」
そんな台詞に反応した木村。
「そうなると、赤点だし、居残りだな。あーあ、面倒くさそう。」
いつものようにけたけたと笑ってそう言った。
何それとかまた聞き返したから腹を抱えて笑いだすし。
本当に木村っていいやつだけどムカつく。
キミの傍がどれほど居心地よかったか実感しかできない。
テストが終わったらまたキミの傍に帰ろうかな……
地理のテストの解答を埋め終えて空を眺めそんなことを思う。
キミから離れたのは自分なのに本当に身勝手な自分。
何考えてるんだよ、ダメダメ。
ふるふると首を振って思い直せばチャイムが鳴る。
「筆記用具を降ろして。」と言われて手に握っていたシャーペンを机の上に置けばころころと転がって床へと落ちる。
解答用紙が後ろから回収されていく。
全てが回収されて終わりの合図があればシャーペンを拾おうとシャーペンの行方を見ればそれはキミの手の中にあった。
左斜め前に座っていたキミ。
まさかそんなとこまでシャーペンが転がっていってたなんて考えてなかった。
「はい。」
にっこりと笑ってキミがボクに手渡す。
「ありが、と……」
奪い取るようにしてそれを取ると目を合わせないようにそう告げる。
目を合わせたらまたわがままを言ってしまいそうだったから。
「どういたしまして。」
キミがそう言って机に戻る。
一緒に帰ろう、
ごめんね、強がって
そう言えば元に戻れるはずなのに、それができない。
違う。元に戻ろうなんてもうボクは思ってない。思っちゃいけない。
手元に戻ったうさぎの描かれたシャーペンをぎゅっと握りしめキミの背を見つめる。
そういえば、コレはキミが去年くれた誕生日プレゼントだったな、と思い出しながら。
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