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いつもの場所
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いつもの場所、そこは保健室。
がらりと戸を開けばいつもの先生。
「あら、いらっしゃいませ。今日も元気ですか⁇」
にこりと笑い、ソファーを勧められる。
体調が悪い人、怪我の人はもちろん、教室に行きたくない人、サボりたい人も受け入れてくれるこの学校の名物ともいえる保健室。
それで保健室登校者が増えるかと思いきや、困った時に保健室に行けるというオープンな状況なために、保健室登校者はこの先生になった途端に減った。
もちろん、ボクみたいないつも何事も面倒くさくて常連になってる人間も何人かはいるけど。
「元気ですよ。」
「そうですか。それなら、良かった。はい、お茶です。」
そう言われ、お茶を勧められる。
良かったらなんて、お菓子もいくつか差し出されて、天国としか言いようのない場所。
ソファーに座りくつろごう、そう思った瞬間にキミの登場。
意外に早過ぎて嫌になる。
頑張って走ったのが分かるくらい息を切らしている。
「あら、砂山くんもいらっしゃいませ。急いで来たのですね。大丈夫ですか⁇」
「海を追いかけてきただけですので、大丈夫です。お心遣いありがとうございます。」
先生の気遣いにさらりと返すキミ。
なんかいけすかない。
「海‼︎ 授業、出るよ‼︎」
ボクにずんずん寄ってくるなりすぐさま叫ばれる。
うるさくてしょうがない。
「嫌だ‼︎」
「嫌だ‼︎じゃないでしょ‼︎」
口応えすればすぐさままた怒鳴られて。
面倒くさい。
「嫌だ‼︎だって、今日は行進練習じゃん。ボクが倒れたらどうするの⁇」
「あら、今日の体育祭の練習は行進でしたか。今日はお客さん増えそうですね。」
「でしょー。だから、ボクもお客さんになる前にお客さんしようかと。」
「あらあら、それはそうですね。」
まったりした先生の受け応え。
すごい和んでしまう。
「ちょっ、先生も海の話に乗らないでくださいよ。」
「んー、だって、今日、炎天下ですし、誰が倒れるか分かりませんから。砂山くんも気を付けてくださいね。」
キミの話にさらりと返す先生。
さすがとしか言いようがない。
でも、キミは許さないんだろうな。
はぁっと溜息を吐き、最終手段を取る。
「海。授業出なかったら、今日のおやつ無しな。」
そんな衝撃的なセリフ。
なんと酷な話だろう。
おやつ…キミの手作りおやつが食べられないなんて、万死に値してしまう。
こうして、ボクは渋々と授業に出ることになった。
保健室を出る時に先生が「日射病にならないよう水分補給はこまめにしてくださいね。」と笑顔で言っていた。
こんな炎天下、倒れるしかないじゃないか。
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