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見つけた見つけられた
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閉会式が終わり校庭ではみんなが片付けを始めている。
白いテントで楕円が描かれていた校庭からテントが撤去され何事もなかったかのように茶色の地面だけが現れる。
フェンス越しにそれを眺める。
いつもなら「最後まできちんと」ってキミに言われて後片付けやってるんだろうな…なんて。
キミから逃げてぼおっと空を眺めていたけれどキミは来なかった。
本当はすぐに見つけてくれると期待していたんだ。
片付けが終わったのだろう、生徒達が各々教室へぞろぞろと向かっている。
人がいた校庭から人が消える。
校庭から何も無くなる。
何も無くなったそれがいつもの光景なのにそれが異質に見えた。
ぎいっと扉が開く音がした。
音のする方向に目を向けるとキミ。
息を切らしてずんずんとボクに寄ってくる。
「やっ、と……見つ、けた…………」
はぁはぁと息を切らしているせいで途切れ途切れにキミがいう。
あらゆるところを探したのだろうか。
なんだか少し嬉しい。
「今日はちゃんと競技でるって言ったじゃない。」
競技には……あぁ、そういえば50m走があった。
そんなことすっかり忘れていた。
「どうして、約束破ったの??」
「別に……」
別になんかじゃない、普通に忘れていたし、出る気もさらさらなかった。
「約束破ったら??」
破ったらご褒美はなし。
分かっている、覚悟はしている。
今日はうさぎさんを帰りに見ることは許されない。
「……でも……」
「??」
「翔だって悪いじゃん!!」
悪いのはボクじゃない。
ボクをこうしたのはキミだ。
「どうして、オレが悪いの??」
「髪型……」
「??」
「この髪型はボクだけのものなのに……。ブスがボクと同じ髪型なんて身の程しら………っ……」
叫んで最後まで言おうとした時、ぱあんという音が響いた。
頬が熱くて痛い。
まっすぐキミを見ていたはずなのに痛くない方の頬とは反対の方を向いていて。
驚きしかなかった。
ボクはキミの手で叩かれたのだ。
キミに手をあげ、られ、た??
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