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差し出したい手
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保健室が開いていないから教室に向かう。
早く来たせいで誰もいなくてしんとした教室。
こんなに静かで広いんだと少し感動する。
自分の席の椅子をひいて椅子に座る。
ふぁあとあくびが出る。
そういえば、早起きしたし、自分で歩いてココに来たんだ。
昨日は体育祭だったし、身体は正直だ。
始業まではまだある。
ボクは机につっぷして眠る。
そして、しばらくしてキミの声とキミのボクを揺する手に起こされる。
「おはよう。海。ちゃんと学校には来ていたんだね。もうすぐ、授業が始まるよ。」
にこりと微笑んでいうキミ。
ちゃんとって何だよ。
ボクはひとりでだってできるんだから。
「だから……翔要らないっていったじゃん……」
ぷいとそっぽを向いてキミにいう。
「そっか、そうだね…ごめん……。でも、鍵はしめなきゃ。危ないから。」
机の上に差し出されたボクの家の鍵に翔がずっと管理してくれていたボクの財布。
あぁ、そんなにすんなりキミはいなくなるの??
自分で言ったはずなのにすごく悲しくて、鍵と財布を置いてその場をさるキミに手を伸ばしかける。
でも、ダメなんだ。
コレは自分で決めたことだから。
そう思うと差し出しかけた手をぎゅっと握ってキミの背を目で追った。
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