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ボクの居場所はもうどこにもない。
そう感じた。
キミの隣はいつだってボクだった。
その場所を逃げ出したのはボク。
そんなのは分かっている。
分かっているけど納得はできない。
廊下をぱたぱたと走って保健室に向かう。
目には涙が溜まっていた。
目が熱かったし、視界が歪んでいたから。
そして、顔色も悪かったんだと思う。
いつも呑気な先生がお茶を勧めようとするのをやめてボクの額を触る。
「熱はないようですね。気分、悪いですか??お腹痛い、ですか??吐きそう、とか??」
焦って話す言葉はとても早口。
そんな不調はない。
ただ、ただ、心がつきんってするだけ。
「香野くん??ベッドで休まれますか??早退されます??あ…砂山くんに……」
何も言わずにうつむくボクの表情を覗き込んで先生はいう。
悪気はないと分かっている。
けれども、今は聞きたくない、キミの名前が口から漏れ、ボクはその言葉を遮る。
「翔は関係ない。」
予想外のボリュームにボクも先生もびっくりした。
そこではっとして言葉を変える。
「翔には言わないで。また、怒られちゃう。」
「そうですか…。」
先生がいつものようににこりと笑う。
いつもと違うボクの様子に先生は察したかもしれない。
けれど、それに気付かないふりをしてボクは先生に与えられたベッドで眠った。
もちろん、キミは保健室に来ることなく気が付けば放課後になっていた。
「帰る時間ですが、帰れますか??無理なようでしたら送っていきますよ。」とボクを起こして調子を尋ねた先生はボクとキミに何かあったことを確信したように優しくそう言った。
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